数日間で同じ店に2回もクルマが衝突 なぜ多発?「踏み間違い事故」 原因と防止策とは

連日、ニュースで取り上げられる『アクセルとブレーキの踏み間違い事故』。その事故を起こしたドライバーの多くが65歳以上の高齢者といいます。なぜ、高齢ドライバーが多いのでしょうか。

増加傾向にある踏み間違いの原因と防止策

 連日、ニュースなどで取り上げられる『アクセルとブレーキの踏み間違い事故』。2019年1月には、数日の間で同じ店に2回もクルマが衝突する事故が起こるなど、社会的に注目されている事案です。

 問題となっている『アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い』による事故を年齢別に見てみると、高齢ドライバーといわれる65歳以上のうち、75歳以上のドライバーの割合が高くなっています。

 なぜ、事故は高齢ドライバーに多いのでしょうか。

後を絶たない「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」。画像は、プリウスなどに後付け可能な抑止装置

 過去10年間における、運転免許を保有する高齢者は、約2倍に増加。今後も高齢ドライバーは、増え続けることが予想されるほか、75歳以上高齢者の死亡事故要因では、全体の約3割が「ハンドル操作不適・ブレーキとアクセルの踏み間違い」です。

 なかでも、ペダル踏み間違い事故の要因としては、『慌て、パニック』がもっとも多く『高齢』『乗り慣れないクルマ』と続いています。

『慌て、パニック』とは、ドライバーがなんらかの危険を察知して回避する際に、慌ててパニックに陥る状況です。続く『高齢』は、年齢的な衰え(視覚機能、注意力の低下や情報処理の遅れや誤り)が影響しています。

 このような要因に対する対策として、経済産業省や国土交通省などが普及を推進する『セーフティ・サポートカー(略称:サポカー)』という制度があります。これは、ブレーキサポート機能や予防安全技術を備えてクルマの普及を進めるものです。

 現在、国内自動車メーカーのほとんどが「セーフティ・サポートカーS(以下:サポカーS)」対象車をラインナップ。「サポカーS」とは、高齢ドライバーの交通事故防止対策の一環として『自動ブレーキ』や『ペダル踏み間違い時加速抑制装置』などを搭載したクルマの総称です。

 コンパクトカーからハイエンドモデルまで「サポカーS」対象車をラインナップし、『ドライビングポジション』の講習会なども実施している自動車メーカー、マツダにペダル踏み間違いの対策などを伺いました。

――「ペダル踏み間違い」問題に対してどのような対策をされているのでしょうか。

 現在、マツダの先進安全技術『SCBS(スマート・シティ・ブレーキ・サポート)』を装着したAT車には、『AT誤発進抑制制御[前進時]』という機能が備わっています。

 これは、前方に障害物がある(と検知した)場合にアクセルを踏み込んでも、エンジン出力の抑制や運転手に対して警報するなどで、衝突軽減を図っています。

 たとえば、ペダルの踏み間違えでブレーキと勘違いしてアクセルを踏んだ場合でも、この制御が働けば衝突被害を防止軽減できる場合があります。

――先進安全技術以外での対策方法はありますか。

 マツダは『人間中心』を根本としたクルマ開発をしており、設計の核となるコクピットも人が理想的な姿勢で座り、運転できる状態を目指して開発しています。また、足元に並ぶ各ペダルも、シートに座ったドライバーの足が自然に伸びた先にある場所に配置しています。

 踏み間違いの原因の一つとして、踏み込み時に足の位置がズレて、自分の感覚と実際の位置が異なることが、交通事故分析センターのレポートにも記載されています。

 その要因である高齢化による股関節の稼働角低下や、駐停車プロセスにおける姿勢の変化などで、つま先が自分の位置感覚・想定とは違う方向・場所に伸びているということも考えられます。

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