高速道路の標識はなぜ緑色? デザインはどうやって決めている?
一般道の道路標識は青色ですが、高速道路の標識は緑色です。この違いはなぜなのでしょうか? また、標識のデザインはどのようにして決めているのでしょうか?
高速道路の標識だけが緑色の理由とは?
普段、何気なく見ている道路標識ですが、設置にあたってはさまざまな意図があります。また、基本的に一般道では青、一部を除く高速道路や自動車専用道路では緑をベースとしたものが使用されていますが、なぜそのような振り分けになったのでしょうか。
今回は愛知県名古屋に本社を置く、高速道路会社「NEXCO中日本」の広報にうかがってみました。
──高速道路や自動車専用道路の標識はなぜ緑色が選ばれたのでしょうか?
標識板の色彩については、国土交通省の「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」(標識令)により定められており、案内標識については視認性の観点から緑と白、青と白の組合せが用いられています。
また、当社の前身となる「日本道路公団」が発行した「高速道路はじめて事典」(1997年2月)によると、高速道路の標識は昭和38年に開通した名神高速道路に向けてその体系・文字高・色・意匠などが決定されました。
標識の地色は、検討の際に参考とした「欧州系の青」、「米国の緑」のいずれかにするか検討した結果、高速実験時ヘッドライトに照射された大型の青色反射シートが実験の参加者全員に緑と誤認された(緑シートは明るい緑に)ことから米国の緑となった、とされております。
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以上のように、標識令に基づいて、緑や青といった色が指定されていますが、国土交通省の資料によると、同省が指定しているのは「緑や青」といったレベルまでで「具体的な色番号の規定はない」とのことです。
具体的な色味の指定について、道路標識や路面標示、防護柵等の交通安全施設に関する研究開発を行う一般社団法人「全国道路標識・標示業協会技術部」に聞いてみたところ、「標識や信号機の色については、警視庁の『交通規制基準』に、反射式標識については日本道路協会の『道路標識設置基準・同解説』に定められています」との回答でした。色度座標や輝度率といった数値で色の範囲が決まっているようです。
また、高速道路や自動車専用道路の看板に緑が選ばれた理由の一つには「自然界に最も多いカラーで、目に優しく、頭をすっきりさせる作用があるため」と記載している団体もありますが、NEXCO中日本によると「そのような効果を期待したものではありません。」といいます。