箱根駅伝で「白い派手なセンチュリーが走ってる!」とSNSでも話題 実はトヨタ社長の特注車
箱根駅伝で「白い派手なセンチュリーが大会用の車両として走っている」とSNSを中心に話題となっています。この白い派手な「センチュリー」、実はクルマ好きにとっては有名なクルマだったのです。
箱根駅伝に世界で1台の凄いクルマが現る!
新年の風物詩ともいえる箱根駅伝で、「白い派手なセンチュリーが大会用の車両として走っている」とSNSを中心に話題となっています。箱根駅伝といえば昨年はアンパンマン号で悪盛り上がりしてましたが、今年のセンチュリーについていえばおしなべて好評です。目立とうとしてるワケじゃないのに目立っているからでしょう。この白い派手な「センチュリー」、実はクルマ好きにとっては有名なクルマだったのです。
箱根駅伝で走っていた白いセンチュリーは、トヨタの豊田章男社長用に作られたスペシャルモデルで、新型センチュリーをベースとし、エアロキットでドレスアップ。足回りの変更なども行ったものです。
ちなみにナンバー「1867」は、豊田の創業者である佐吉氏が生まれた年です。今年の箱根駅伝では『大会本部車』として使われています。センチュリーを見ながら他の車両も見てみると、なんと2019年はすべてトヨタのスペシャリティカー「GR」モデルです。
出場大学の監督が乗っている車両は「ノア」もしくは「ヴォクシー」のGR、たまに映る「プリウスPHV」や「ヴィッツ」もGR。積極的にGRを選んでいるということです。なぜでしょうか?最近のトヨタのスポーツに対する援助の一環なのかもしれません。御存知の通り野球やサッカーなど一部のジャンルを除けば、有名選手といえどもスポーツだけで生活していくことは難しいです。
スケートや卓球、レスリング、スキーといったオリンピックで金メダルが取れたり、競技人口の多いジャンルですら、スポーツだけで収入を得られるのはごく一部のTOP選手だけだと思っていいでしょう。多くの有名選手は企業に属しているのが普通です。つまり企業のバックアップ無しでスポーツは成り立たない状況にあります。
一方、企業にとってメリットあるかといえば、費用対効果を考えると薄いでしょう。むしろ「有名選手をお金で囲っている」という悪いイメージもあるため、リーマンショック以降は、多くの企業が手控えるようになってきました。日本でもっとも規模の大きい産業である自動車メーカーを見ても、スポーツに対する援助は極めて冷淡。残念なことだと思います。
そんな中、トヨタは欧米の企業並に頑張っています。『Gazooスポーツ』が個人選手を多数バックアップしているだけでなく、現役を引退した選手もトヨタで素晴らしい経歴を活かすような道を作ってます。トヨタだけでなく関連企業もバックアップしており、たとえば『アドヴィックス』は常呂町作ったカーリング施設のスポンサーになっていたりします。
トヨタ以外ではホンダとスバルがわずかながらアマチュアスポーツ文化に貢献している程度。日産やマツダ、三菱あたりになると宣伝になりそうな人気スポーツ以外、貢献しようという気持ちが無いようにみえます。縁の下の力持ちをやっているからこそ、トヨタは国民行事になった箱根駅伝でも輝けます。他の自動車メーカーにも見せつけて欲しいです。
参考までに書いておくと、箱根駅伝のサポートカーは1973年~1989年まで自衛隊でした。1990年から自衛隊の役割を三菱自動車が引き継ぎます。1990年代はパジェロやスペースギアなどを提供。三菱自動車の業績低迷を受け、名乗りを上げたのがホンダで、2009年まで燃料電池を走らせたりしていたものの、やはり費用対効果無いと判断してやめてしまいました。
その後、2011年からは、それまで実務などの裏方用に車両を提供してきたトヨタが全面的に引き受けることになったという経緯です。トヨタ以外の自動車メーカーも、もう少し文化活動をバックしたらいいと思います。
ちなみにスポーツ貢献、トヨタというよりGazooの雰囲気が濃い状況。豊田章男社長の強い意志なのかもしれません。
【了】
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。