需要増加? 日本の98%がAT車時代 なぜかMT車が徐々に増えているワケとは
今では乗用車の販売総数の内、98%くらいがATです。そのためにATしか用意していない車種も多いのが現状です。しかし、近年ではその流れが少しずつ変わってきています。減るいっぽうだったMT設定車を各メーカーがジワジワと増やしているのです。いったいなぜなのでしょうか。
今になってMT車がジワジワと増えている理由
クルマの変速機には、シフトレバーとクラッチペダルを操作するMT(マニュアルトランスミッション)と、AT(オートマチックトラスミッション)があります。1980年代の中盤までは、それぞれの販売比率は各50%程度でしたが、この後はAT比率が高まりました。今では乗用車の販売総数の内、98%くらいがATです。そのためにATしか用意していない車種も多いのが現状です。ハイブリッドには、機能的にMTを設定できないタイプも見られます。
しかし、近年ではその流れが少しずつ変わってきています。新型車やマイナーチェンジを機にMT設定車を各メーカーがジワジワと増やしているのです。いったいなぜなのでしょうか。
ATの普及に合わせて、1991年から、AT車しか運転できない限定免許も交付されるようになりました。警察庁の運転免許統計によると、第一種普通運転免許を取得したドライバーの内、今は約61%がAT限定免許です。乗用車のAT比率に比べると低いですが、39%のドライバーしかMTを運転できないわけですから、乗用車でATが多く選ばれるのは当然でしょう。
それにもかかわらず最近は、MTを設定したクルマが少しずつ増えています。2017年に発売されたホンダ「シビック」は、1.5リッターのターボエンジン搭載車と高性能なタイプRに、6速MTを設定しています。2018年に発売されたトヨタ「カローラスポーツ」も、1.2リッターターボに6速MTを用意しました。2018年にマイナーチェンジを受けたSUVのマツダ「CX-5」は、新たに6速MTを追加しています。マツダは以前から6速MTに積極的で、「アテンザ」「アクセラ」「CX-3」なども採用しています。
このほかトヨタ「ヴィッツGRスポーツ」、日産「ノート」や「マーチ」に用意されるニスモSも、スポーツモデルとあって5速MTを装着しています。
なぜ今になって各メーカーともMTに注目し、装着車を増やしているのでしょうか。MT採用に積極的なマツダの開発者に、「なぜ積極的にMTを採用するのか?」と聞いてみたところ、以下のように話してくれました。
「もともとマツダでは、ロードスターなどにMTを設定してきました。そして2012年に発売された現行アテンザでは、クリーンディーゼルターボを搭載するXDに、6速MTを用意しました。MTとディーゼルは相性が良く、運転感覚も新鮮で楽しめるからです。またマツダの重役はMTが大好きで、日本の導入を喜んでくれた、という経緯もあります」(マツダの開発者)