AI技術が渋滞を予測? NEXCO東日本による近未来の渋滞予報とは
NEXCO東日本がAIを活用した渋滞予測技術の開発に成功。今後の渋滞予測に変化があるかも知れません。
AI技術による渋滞予測の可能性
近年、人工知能技術「AI」を使ったさまざまなサービスが増えつつあります。そんななか、東北道や関越道といった東日本エリアの高速道路を管理するNEXCO東日本は、AIを活用した数ヶ月先の渋滞予測を可能とする技術の開発に成功したと発表しました。
従来、渋滞予測は渋滞予報士が行なってきました。今回、株式会社グリッドが開発・提供している多様な課題に対応可能なAI開発プラットフォーム「ReNom(リノーム)」とNEXCO東日本が持つ渋滞予測技術を用いて渋滞予報士と同等の予測モデルを開発。
NEXCO東日本は、「この予測モデルと交通混雑期の渋滞実績と比較した結果、一定の精度が確認でき実用化に向けて目途が経った」と説明しています。
従来の交通混雑期や渋滞カレンダーなど、数ヶ月以上先となる渋滞予測は、NEXCO東日本の渋滞予報業務を行う渋滞予報士が、過去の渋滞実績を重ね合わせ曜日配列や道路状況の変化、周辺イベントの状況などを考慮した上で判断・予測していました。
AIによる渋滞予測モデルは、渋滞発生に大きく影響しそうな過去の要因データを学習させ、将来の「ある日時・場所」における、渋滞発生の有無を予想させるものです。
今回の開発は、関越自動車道を対象としており、2004年から2018年までの約14年分の大量のデータを学習に使用。学習に際しては、NEXCO東日本の渋滞予測のノウハウと、グリッドのモデルエンジニアリング技術を掛け合わせて教師データを作成しています。
2018年の関越自動車道における交通混雑期(GW、お盆)の、AIと渋滞予報士による渋滞予測を実績とを比較したところ、予測の空振り率と見逃し率ともに約2割程度となり、渋滞予報士による予測とほぼ同等の精度で予測できていることを確認。また、関越自動車道の年末年始の渋滞予測について、両者の予測を比較すると約8割が同様の予測結果です。
AIを活用した渋滞予測の今後の展開は、対象とした関越道以外にも適用可能で、今後東北道など他路線も学習し対象路線の拡大を目指すほか、渋滞予測業務において渋滞予報士の予測に見落としが無いかなどの補助的な活用を予定しています。
将来的にAIによる渋滞予測の精度が更に高くなり、従来予測システムとの連携がなされれば、渋滞予報士が行ってきた作業が大幅に短縮され、渋滞予測業務が概ね半減すると想定。
今後、気象情報や事故発生状況など新たな学習データの可能性を検討し、更なる精度向上を目指すとしています。
【了】