早ければ今シーズンから始まる「新チェーン規制」は規制強化ではなく、むしろ「規制緩和」

12月10日に国土交通省と警察庁が早ければ今シーズンから実施される「新チェーン規制」について発表を行いました。現在実施されているチェーン規制との違いはどんなことでしょうか。また、チェーンを装着していない車に対しての罰則はあるのでしょうか。

これまで大雪時は通行止めだった道路を「チェーン装着車」なら通行できる

 このたびのチェーン装着義務化については、「大雪の時にはスタッドレスではダメでチェーンを履かないとダメ」「チェーンを装着していないと罰金30万円?」「これまではスタッドレスを履いていればOKの道路状況でも全車チェーンを履く必要がある」などの「誤解」が大きく広まりました。

 実際、新チェーン規制が実施されるのは指定された13区間(来年度以降増える予定)で、年に数回あるかないかの「異例の大雪」が降った時だけなのです。誤解、曲解している人も多い「新チェーン規制」について、知っておくべきポイントを国交省道路局環境安全・防災課道路防災対策室 担当者の解説と共にご紹介します。

 それではまず、規制区間に設置される新しい「チェーン規制に関する規制標識」のお話から伺ってみます。

■ 1.区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府令・建設省令第3号 以下『標識令』)の改正を行う。『標識令』を改正して新たにチェーン規制に関する規制標識を作成する。

これまで通行止めになっていた箇所でもチェーン装着で通行可能になる「新チェーン規制」

「標識令の改正によって新たに制定される規制標識です。大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪時にチェーン規制が行われる場合に、移動式のLED標識が設置されます。なお、平成29年度は、大雪特別警報の発令はなく、大雪に対する緊急発表は3回ありました」(国交省道路防災対策室)

 つまり、「場所に関わらず雪が積もった道路はすべてチェーン装着を義務化」というわけではなく、この標識が設置された場所(今シーズンは勾配の大きい峠部でこれまでに大規模な立ち往生などが発生した区間の国道、高速道路合計で全国13か所を指定)で、さらに「異例の降雪時」のみ、チェーン装着が義務化されることになります。なお、今シーズンは13か所ですが、指定区間は今後増えていく予定です。

 言い換えると、指定区間以外、また通常の降雪状態であれば「冬用タイヤ規制」が出ていても、スタッドレスタイヤでOKということになります。

■ 2.これまでは大雪によって通行止めになっていた道路を「チェーン装着車のみ通行できるようにする」

「大雪によって道路が通行止めになる時間は少しでも短い方が良いと考えています。今回のチェーン規制は、本来は大雪で通行止めになるような道路であっても、チェーンを装着した車なら通れるようにするものです」(国交省道路防災対策室)

 こちらが「規制緩和」と言われる所以です。チェーン規制を強化するのではなく、大雪で通行止めとなる道路でもチェーン装着車なら通行を許可するという規制です。なお、規制の対象となっている道路を走行するには、スタッドレスタイヤだけではNGで、必ずタイヤチェーンの装着が必要になります。

■ 3.チェーン非装着車に対して、即「罰則」が課せられるわけではない。

「新たなチェーン規制は、道交法・道路法に基づく規制となりますので厳密にいえばチェーンを装着していない車は道交法・道路法違反となります。しかし、制度を徹底するための罰則は存在しても、罰則があることを煽って規制するものではありません。

 つまり、チェーン規制の実施中に『チェーンを装着していない』というだけで検挙されるようなことはないと考えています。ただし、規制下でチェーンを履いていない車によって重大な事故が発生した場合には罰則が適用される可能性もあります」(国交省道路防災対策室)

 スピード違反や携帯電話使用に関する違反などのように、その場で取り締まりをして反則切符を切られる…という類の規制ではないということです。

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