もっとぶっ飛ぶべき! ホンダ 新型「NSX」は2年ぶりの改良でどう進化した?
ホンダのスーパーカー「NSX」が2019年モデルへと進化しました。開発担当者の変更により『意のままに走るように』なったニューモデルの乗り味はどうなのでしょうか。
開発担当がアメリカ人から日本人へ変わった「NSX」
ホンダ「NSX」のようなタイプのクルマは単純に自分の好みで選べば良いと思います。人の意見など聞かなくてOKだと考えます。私(国沢光宏)が初代「NSX」を買った時も、「328&348」と2台続けてフェラーリを買った時も、試乗レポートなど参考にしませんでした。そもそもNSXをオーダーしたのは発売前。2台のフェラーリに限っては、正直、信頼出来そうな試乗レポートが無かったのです。
確かにこういったクルマについてアレコレ評価するのは基本的にヤボだと考えています。『カッコいいね!』と思ったら買っちゃえばいいのです。「NSX」を買おうとする財力ある人なら、失望したってすぐ手放せばよろしいかと。といったことを全て認識しつつ、私は少しばかり正確にホンダ「NSX」を紹介したいと思います。いったい2年前に生まれたクルマがどう進化したのでしょうか。
まず、2年間で一番大きく変わったのは開発担当者がテッドさんというアメリカ人から、水上さんという日本人になったことです。テッドさんの作った「NSX」は、シボレー「コルベット」のようなスーパーカーでした。定常円旋回でスゴイ横Gを出せるクルマです。それでいて日常の快適性も重視したため、案外ソフトな乗り心地を持つ、ユルいスーパーカーでした。
テッド「NSX」で鈴鹿サーキット走ると、ロールして縁石を擦りまくる。コーナーリングも大味。さらにエクステリア&インテリアともに職人芸の反対なものでした。全体のフォルムはスゴクかっこいいのですが、ボディパネルにシャープさがなく、FRPで作った「光岡オロチ的」。細かい部分の作り込みでフェラーリやマクラーレンには届いていなかったと思います。
日本人の水上さんからすれば、手を入れたい部分が山ほどあったことでしょう。ただイッキに変更することも出来ず、「今回はハンドリングを中心に変更した」といいます。一言で表すなら『意のままに走るようにした』ということです。テッド「NSX」の「ユルい部分をシャッキリさせた」、といえば大きな間違いじゃ無いです。実際に乗って試してみると、なるほど走り出した瞬間から『いいね!』。
明らかにシャープな乗り味になっており、キリッとしています。アメリカのコルベットやダッジバイパー風から、ヨーロッパのスーパーカーの方向になりました。残念なのは、エンジンマウントが相変わらずユルいこと。エンジンが掛かった時の緊張感は出ていない。毎日乗るクルマじゃないのだから、エンジンが掛かった瞬間に『凄いね!』と思うようにしたらいいと、私は思います。