パンクしてもタイヤ交換不要に? スペアタイヤは絶滅の危機
いまはスペアタイヤに代わり、応急修理キットが主流
現在では、スペアタイヤの代わりに「応急修理キット」が搭載されている車種が増えてきています。
実際ホンダは、ほとんどの車種に「応急修理キット」が搭載されており、スペアタイヤを積んでいる車両は少ないそうなので、その経緯などを聞いてみました。
──「応急修理キット」はいつごろから採用され始めたのでしょうか。
過去をさかのぼりますと、遅くとも2007年の「クロスロード」では「応急修理キット」が適用されております。
それ以前でもレースベース車では適用がありましたが、一般の車両ではこのあたりから使われるようになっていたようです。
──現在でもスペアタイヤが設置されている車両は存在しますか。
現在は、商用車である「アクティトラック」と「N-VAN」にはスペアタイヤが設定されております。
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タイヤを搭載する必要がない「応急修理キット」には、タイヤとホイールひとつ分の重量を削減し、タイヤひとつ分のスペースをほかの目的に使うことができるなど、燃費の向上や、積載スペースの確保などのメリットがあります。
使用方法も簡単で、「応急修理キット」の種類にもよりますが、取扱説明書などに記載されている通りに作業を進めれば15分程度で作業を終えることができます。
しかし、「応急修理キット」も「応急タイヤ」と同様に、ずっと走り続けることはできません。また、メリットも多い「応急修理キット」ですが、「応急タイヤ」にはないデメリットも存在します。
「応急修理キット」は補修材を充填して穴を塞ぐ仕組みです。接地面に小さい穴が開いた程度のパンクなら修理が可能ですが、タイヤの側面の損傷や、破裂して大きく損傷してしまう「バースト」になってしまうと、「応急修理キット」では対応できません。
また「応急修理キット」を使用してしまうと、必ずタイヤをホイールから外して補修材を取り除いて修理する必要があるほか、タイヤ交換が必要になる場合もあります。
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現在、廃車になる車両のスペアタイヤは廃棄物となってしまい、「応急修理キット」にすることで、廃棄物の削減にも一役買っているようです。また「応急修理キット」に含まれる簡易型のコンプレッサーはタイヤの空気圧調整にも使えます。
近年は道路の状況も良くなってはいるものの、パンクは少なからず発生しています。道路上でのタイヤ交換は危険とされていることも踏まえて、タイヤがパンクした際はロードサービスに救助を依頼し、安全が確保できる場合のための備えとして「応急修理キット」を使用することがベストなのではないでしょうか。
【了】