Z900RSにヨシムラ集合管! 開発中のバックステップも装着し、往年のスタイル復活へ!!
ヨシムラの新たな伝説が今始まります。Zに装着された手曲げ集合菅にバックステップ、低く設定されたバーハンドルは70-80年代を知るファンには涙ものです!
伝説の製法に最新の技術を融合させたヨシムラとは?
カワサキ『Z900RS』に装着されているのは、ヨシムラの手曲げ集合管ではありませんか。今年3月の東京モーターサイクルショーで初披露し、5月の「テイスト・オブ・ツクバ」でデモ走行。
今夏発売を開始し、11月上旬に開かれたイタリア・ミラノショーでもヨシムラブースで注目を集めていました。70-80年代を知るバイクファンには、懐かしい姿です。
『Z900RS用 手曲ストレートサイクロン』は大きな反響と要望を受け、まずはサーキットユース向けのレーシングマフラーが商品化となっていて、車検対応の一般公道向けは現在開発中です。伝統の製法に最新技術を融合させ、唯一無二といっていい“ヨシムラエキゾーストサウンド”を奏でます。
「ヨシムラ」といえば、今でこそ当たり前になっている集合マフラー(集合管)を世界で初めてつくったことで、モーターファンの間ではよく知られています。時代は4気筒エンジンを積むオートバイが登場して間もない70年代の初め。
アメリカのバイクレースで勝つために、4本出しマフラーを軽量化の一環としてエキゾーストパイプの途中から1本に集合させて束ねたところ、エンジンの馬力が向上していることに創業者である”POP吉村”こと吉村秀雄氏が気付きます。エキゾーストパイプをつないで排気を互いに干渉させることで、排気の効率がより向上し、出力が上がることが後にわかったのです。
単なる排気管が、エンジン出力向上のカギに!
かつて排気管は、その名のとおりエンジンの排出ガスを吐き出し消音するためのパイプでしかありませんでしたが、太さや長さ、集合方式、消音構造によって出力特性にも大きな影響を及ぼすことにヨシムラは着目していきます。
マフラーへ流れ込む排気ガスは、エキゾーストパイプ内では圧力波が音速のスピードで行き来する「排気脈動」が発生しているのです。燃焼室から出ていくのが「正圧波」、逆にエンジン側へ戻るのが「負圧波」と呼ばれます。
排気バルブが開くと、負圧波が燃焼済みガスをヘッドから吸い出してくれるので、負圧波が最適なタイミングで戻れば排気効率の向上が見込めるのです。これはエキパイの長さが関係してきます。
圧力の『変動=脈動』を巧みに使えば、排気ガスを燃焼室から効率よく引き出すことができ、つまり混合気の充填効率を高める効果をもたらします。
そして排気ガスそのものの移動が「排気慣性」です。集合マフラーの場合は、各気筒間のガスの流速差により、1つのエキパイから排出されるガスが、ほかのエキパイの残留ガスを吸い出します。ヨシムラサイクロンでは『#1-2-3-4』の爆発行程順に円周上で並べ、排気脈動効果、排気慣性効果、そして流速向上を狙ったのです。
昔は単なる排気管でしたが、ヨシムラがそうしたように70年代のレースシーンから管長やレイアウトがじっくり吟味され、吸排気効率を向上していきます。マフラー重量の軽減でも動力性能は上がりますし、マフラーが優れていればエンジンもパワーが上がり、70年代以降はマフラー交換がカスタムに欠かせないものとなっていくのでした。