燃料が凍って立ち往生? ディーゼル車オーナーならば知っておくべき軽油の凍結とは
テクノロジーの進化により実現した、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOX)などの排出量が少ない「クリーンディーゼル・エンジン」は、パワフルかつ燃費特性に優れた内燃機として国内外の各メーカーが採用する技術です。その燃料となる「軽油」は凍結に注意が必要なのです。
寒冷地での給油が軽油の凍結を防ぐ最善策
国内メーカーではマツダの「SKYACTIV-D」などに代表される「クリーンディーゼル・エンジン」は、従来のディーゼルエンジンと比較して排気のクリーン化や燃費性能の向上などが図られた優れた内燃機関です。
そんな優れた環境性能と走行性能を持つゆえ普及が進む「クリーンディーゼル・エンジン」搭載車ですが、11月から3月までの気温の低くなる冬季シーズンではその燃料となる「軽油」の凍結に注意が必要です。
2018年11月現在ではマツダやトヨタ、三菱などの国産メーカー他、BMWやメルセデス・ベンツ、ボルボなど欧州車を中心にさまざまなメーカーから多用なモデルがラインナップされています。
そこで今回は、軽油が凍結するメカニズムや予防策などについて石油類の精製・販売などを行っている「出光興産株式会社」の広報に伺ってみました。
――軽油の凍結はなぜ起こるのでしょうか。
軽油中にはワックス分が存在し、低温になると結晶が分離します。この結晶が多いと燃料ポンプのフィルタを詰まらせ、エンジンがかからなくなりますが、この現象を凍結と言っております。
――凍結の予防策はありますか。
スキー場のような寒冷地にいらっしゃる場合は現地(寒冷地)のSSで給油することをお勧めします。気温が低くなる地域では低温流動性に優れた軽油を販売しています。
――ハイオクやレギュラーのように、軽油にも種類があるのでしょうか。
ガソリンスタンドで販売している軽油は1種類ですが、季節と地域によって凍結しないように製油所で数種類を作り分け、出荷しています。
種類はJIS規格によって特1号、1号、2号、3号、特3号に分類され、右にいくほど低温流動性は良く、凍結しにくくなります。
――軽油の種類が切り替わる地域の目安はありますか。
日本工業規格の発表する“JIS K 2204:2007軽油“内の解説『軽油使用ガイドライン』に地域および各月において、推奨する軽油の種類が記載されております。
こちらのガイドラインにおいて、以下の期間および地域は3号軽油もしくは特3号軽油の使用が推奨されております。
●3号軽油
12月 北海道全域、東北、中部地方山岳部
1月から3月 道南、東北、中部地方山岳部
●特3号
1月から3月 北海道(道南を除く)
――仮に凍結してしまった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
状況にもよりますので一概に言えませんが、気温の上昇を待ち、エンジンがかかるようになってから最寄りのSSで給油してください。
――軽油と同じように、ガソリンが凍ってしまうこともあるのでしょうか。
ガソリンが凍結することはありません。
※ ※ ※
クリーンディーゼル車の開発を積極的に行っているマツダは、「ディーゼル車の場合、寒い時期は普通の軽油では凍ってしまうおそれがございますので、寒冷地へ移動する時は現地に着くまでに燃料の残量が1/2以下になるようにしておき、到着後はできるだけ早く寒冷地用の燃料を補給してください。」と取扱説明書に明記しています。
仮に軽油が凍結してしまった場合には燃料フィルタ付近や燃料が通る配管を温める手段もありますが、機械に明るくないユーザーはJAFなどのロードサービスを利用する方が確実でしょう。
【了】