スーパーフォーミュラのタイヤはなぜ1スペックのみ? 横浜ゴムが取り組む「速さ」と「環境性能」の両立とは
横浜ゴムとJRPによる「レーシングタイヤ勉強会」が富士スピードウェイで開かれ、スーパーフォーミュラに供給しているタイヤの開発についての紹介がありました。どのような取り組みが行われているのでしょうか。
「環境に優しい」レーシングタイヤへの取り組み
勉強会では、スーパーフォーミュラ向けタイヤにおけるサステナビリティ技術についても、詳しい説明がありました。
2025年シーズンから投入されているタイヤにおいて、「再生可能原料」と「リサイクル原料」は以前よりも多く使われていますが、その比率は46%(ドライタイヤとウエットタイヤの平均値)で、2023年スペックからさらに引き上げられ、今後も性能を維持しながら比率向上を目指すとしています。
タイヤのスペックをひとつに絞ることや、高いパフォーマンスを発揮しながら素材の一部を石油由来ではなく、再生可能なバイオマスなど植物由来のものにする取り組みはどちらも、スーパーフォーミュラを主催するJRPが、2021年に発表した「SUPER FORMULA NEXT50(ネクスト ゴー)」プロジェクトに基づくものです。

タイヤのスペックをひとつに絞ることで、過製造により無駄になるタイヤや、輸送における二酸化炭素などが削減されます。
また原材料の一部はバイオマス原料が用いられており、タイヤの重要な素材であるシリカに関してもウエットタイヤにはコメの収穫時に廃棄される「もみ殻」から抽出、生成した「もみ殻シリカ」を採用。単に植物由来というだけでなく、本来は廃棄されるものが有効活用されているのです。
さらに、再生可能原料とあわせて使っているのがリサイクル原料です。
たとえば、ゴムの一部は使用済みタイヤを粉砕・脱硫して生成した再生ゴムを採用。タイヤコンパウンド配合剤の一種である亜鉛華は、電気炉で鉄スクラップを溶解した際に発生する電炉ダストを回収・生成して配合剤に生まれ変わらせたものを一部使用しています。
つまり、最高峰のレーシングタイヤの製造に一度使った資源を再利用することで、資源の循環利用を推し進めてサステナブル社会の実現に貢献しているのです。
近藤会長「今季、来季もより良いタイヤを」
この日の勉強会では、横浜ゴムとJRPの幹部も登壇し、スーパーフォーミュラにおけるタイヤ開発について、それぞれの取り組みや思いを語りました。
横浜ゴムの社長兼COOの清宮眞二氏は「タイヤは最も重要なパーツ」だと強調し、スーパーフォーミュラにおける開発の要点について「タイム、ドライバーの安全、エンターテインメント」を同時に満たすことだと述べました。
JRP社長の上野禎久氏は「SUPER FORMULA NEXT50」について、「カーボンニュートラルの推進」の観点から解説。近藤氏は、自身がドイツ・ニュルブルクリンクで参画したレースにおいて、路面μ(摩擦係数)のデータを横浜ゴムが取得し、研究に生かされていることなどを紹介するとともに、「今季、来季もより面白いエンターテインメントにつながるタイヤを注文していきたい」と横浜ゴムへの期待感を述べました。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。












