日本GPの裏で2年に1度、もうひとつの世界GP ヤマハ二輪整備士世界選手権とは

ヤマハ発動機が2年毎に開催している、世界中のヤマハ認定整備士が参加して世界一の整備士を決める世界大会「WORLD TECHNICIAN GRAND PRIX(ワールド・テクニシャン・グランプリ)」が開催され、スポーツモデルクラスはカナダ代表、コミューターモデルクラスは台湾代表が、それぞれチャンピオンを獲得しました。

2輪整備士界にもニュータイプが存在した!?

 エンジンがかからなくて、出場選手全員が苦戦している中、いとも簡単に(と思える程)故障箇所を見つけて素早くマシンを修復させた、台湾代表のウー・チャンウェイさん21歳。エンジンがかかった瞬間、会場内はどよめき、拍手が湧き上がりました。最年少の出場者であるウーさんは、整備士歴7年。バイク屋の息子として生まれ、父とともに切磋琢磨してきたのだそうです。マシンを修復する彼の手つきは迷いがなく、マシンの方が故障箇所を教えてきているような、まるで整備士界のニュータイプのようにも感じられました。

ヤマハ認定整備士の頂点を目指す世界大会

 10月17日にヤマハ発動機の「ワールド・テクニシャン・グランプリ」が、静岡県のヤマハ発動機本社にて開催されました。この大会は、ヤマハ独自の世界統一基準による、整備士教育プログラムYTA(ヤマハ・テクニカル・アカデミー)に合格した認定整備士が競い合い、世界一のヤマハ2輪整備士を決める世界大会です。世界最高峰の2輪レースMotoGPの日本ラウンドが開催される直前に、バイク業界の裏側を支える整備士たちの世界GPが、磐田で開催されました。

世界一のヤマハ2輪整備士を決める世界大会に参加する日本代表の井口選手

 2002年から2年に1度開催され今回で8回目を迎える2018年大会は、予選を勝ち抜いてきた19カ国と地域からなる21名の整備士が参加。出場選手はオーストラリア、オランダ、ロシア、アメリカ、台湾、コロンビア、インド、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カナダ、フランス、フィンランド、ブラジル、タイ、中国、マレーシア、メキシコ、そして日本とバラエティー豊か。年齢も21歳から49歳、整備士歴も4年から13年とキャリアもさまざま。

 競技は「スポーツモデルクラス(競技車両MT-09)」と「コミューターモデルクラス(競技車両YZF-R3/R25/R15)」の2クラス制となっており、それぞれ「故障診断競技」と「お客様対応競技」の2種目の総合得点にて順位を争うという内容です。

故障診断競技(競技時間80分)

「故障診断競技」は、競技時間が80分となり不都合を想定した車両を使い、故障箇所を見つけて修理し、リストにもとづいて各部点検を行う実技競技。採点のポイントは「手際よく安全に作業できるか」「迅速かつ的確に故障箇所が診断できるのか」。

 お客様の車両を丁寧に扱えるかに加え、工具や機器の取り扱いまでが審査されます。不都合箇所を修理しないと、エンジンがかからない、という課題になっており、きちんと手順にしたがって点検をしていけば、不都合場所が見つかるハズ、という内容ではあったのですが…、審査が始まってから30分経過しても誰のエンジンもかからない…、40分くらい経過した頃に徐々にエンジンが掛かりはじめたものの、修復できずに競技が終わってしまった選手もいたという難問となっていたようです。

 1グループ目に最初にエンジンをかけることができた日本代表の井口さん(スポーツモデルクラス)曰く「壊れることのない場所が故障していました。一つひとつ潰していって、最終的に行き着いたという感じなのですが…」とのこと。それでも、井口さんよりも素早く故障箇所を発見してエンジンをかけたのは、2グループ目に登場した台湾代表のウーさん(モキューターモデルクラス)。その速さに会場がどよめいた程です。

お客様対応競技(競技時間30分)

 そして「お客様対応競技」は、競技時間が30分。点検や修理を終えた車両を引き取りに来た客への対応が審査され、身だしなみや言葉遣いといったマナーに加え、的確に点検の結果が伝えられるかなどもチェック。もちろん言葉はその国の言語が使われ、各国のお国柄も考慮されたものとなっていました。

 審査会場は、国際色豊かで、各国の言葉が飛び交い、楽しそうに接客するラテン系な国から、膝をついて接客するアジア系、生真面目な日本代表等々、お国柄がとても良く出ていたのが印象的でした。

世界トップの21名が参加したヤマハ「ワールド・テクニシャンGP」の様子を画像で見る

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