観音開きのサイドドアはなぜ廃れた? あのクルマで伝統のオールドスタイルは別名「自殺ドア」!?

2000年代以降も細々と存在 伝統になっているあのクルマは別格!

 同様の観音開きサイドドアは、2000年代にはホンダのSUV「エレメント」や、トヨタ「bB」のピックアップトラック版である「bB オープンデッキ」(後席ドアは助手席側のみ)、初代クラウンのオマージュともいえる(いわゆるパイクカー)トヨタ「オリジン」などにも採用されました。「オリジン」以外は、後席ドア単独では開けられません。

 輸入車での採用例としては、2007(平成19)年にBMW傘下のミニから発売された「クラブマン」が挙げられます。この車種では運転席側のみ、前方から開くタイプの後席ドア「クラブドア」が設けられました。「クラブマン」の場合、やはり後席ドア単独では開けることができませんが、オペルのミニバン「メリーバ」(2010年発売の2代目)などは、Bピラーがあり、後席ドアも単独で開けられる観音開きタイプでした。

 しかし、ミニ「クラブマン」は2015年発売の現行モデルで「クラブドア」が廃され、通常の4ドアに変更されています。ビー・エム・ダブリューによると、「車体をサイズアップし、ワンランク上のプレミアムコンパクトセグメントに参入するうえで、しっかりした4枚ドアを装備したかった」とのこと。

 一方、BMW傘下になる以前のミニ「クラブマン」などで伝統的に採用されていたトランクの観音開きドアは、「クラブマン」におけるアイデンティティのひとつでもあるとして残したそうです。

マツダ「RX-8」。ピラーが埋め込まれた後席ドアは小さく、前席ドアを開けないと開けられない(画像:マツダ)。

 観音開きのサイドドアは人目を引くのか、モーターショーのコンセプトカーなどでは比較的多くみられます。しかし市販車に採用されることは稀といえるでしょう。「クラブマン」のように、これを採用していてもモデルチェンジを機に廃止、あるいは後継モデルに引き継がれていないケースを見ると、メリットはそれほど大きくはないのかもしれません。

 というのは、後席をスライドドアとすれば、大きな開口幅を確保できるからです。いまではホンダ「N-VAN」やダイハツ「タント」のように、スライドドアにピラーを埋め込むことも可能になっています。

 そうしたなか、ロールス・ロイスや運転手付きのリムジンなどは、この方式を伝統的に採用しています。ロールス・ロイスの場合、観音開きサイドドアのほうが、後席に乗る人の所作が美しく見えるのだそうです。

【了】

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