ついに「危険運転」が厳格化! 飲酒&爆走に7月21日から「数値基準」導入 新たに「ドリフト」も処罰対象になった法改正の中身とは
「危険運転致死傷罪」の適用要件を明確にするため、飲酒や高速度の運転に数値基準を設けるなどした改正自動車運転処罰法が、2026年7月21日から施行されました。一体どのように変わったのでしょうか。
飲酒・高速度・ドリフトの「新基準」とは?
自動車で危険・悪質な運転行為をおこなって人を死傷させると、自動車運転処罰法の「危険運転致死傷罪」の対象となり、相手を死亡させた場合は1年以上20年以下の拘禁刑、負傷させた場合は15年以下の拘禁刑が科されます。
しかし危険運転致死傷罪をめぐっては、これまで「適用条件があいまいで判断にばらつきが生じている」「常識的に見て極めて危険性の高い高速度運転であっても、実際に進路を逸脱していなければ、危険運転致死傷罪が適用されないケースがある」など、その適用の難しさが指摘されてきました。
一例を挙げると、2020年11月には福井県福井市において酒気帯び運転をしていた男がパトカーの追跡から逃走中に時速105kmで交差点に進入して軽乗用車に衝突、相手の男女2人を死傷させる事故が発生しました。
この事案では、男が飲酒運転のうえ高速度の運転をしていたにもかかわらず、「運転手はぶれずに直進していた」などの理由から進行を制御することが困難な高速度とは認められず、男に過失運転致死傷罪で懲役5年6か月が言い渡されました。

このような背景を踏まえ、事案の実態に即したより厳正な対処を可能にするため自動車運転処罰法の改正がおこなわれ、改正法が2026年7月21日から施行されています。
具体的には、危険運転致死傷罪の対象となる危険行為(類型)が以下のように変わりました。
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1. 飲酒類型に「数値基準」を新設
《法改正前の適用要件》
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
《法改正後の適用要件》
・アルコールの影響により正常な運転が困難な状態(呼気1リットルあたり0.5ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態)で自動車を走行させる行為
・その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2. 高速度類型の新設
・最高速度が時速60キロ以下の道路で「最高速度を時速50キロ超える速度」、最高速度が時速60キロを超える道路で「最高速度を時速60キロ超える速度」という高速度で自動車を運転する行為
・上記に準ずる速度であって、道路および交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度で自動車を運転する行為
3. 殊更にタイヤを滑らせ、または浮かせる走行(いわゆるドリフト走行)の類型の新設
殊更にタイヤを滑らせ、または浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態で自動車を走行させる行為
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上記1の飲酒運転に関しては、これまで規定されていなかった身体のアルコール濃度の基準が明確に設けられました。また、仮に数値基準を下回っていても、アルコールの影響によって正常な運転が困難な状態と判断されれば、危険運転致死傷罪が適用される可能性があります。
さらに、このたび新設された上記2の高速度運転に関しても明確な数値基準が示されました。
たとえば、最高速度が時速60kmの一般道路を時速110km超える速度で、最高速度が時速80kmの高速道路を時速140km超える速度でそれぞれ運転し、人を死傷させた場合には原則として危険運転致死傷罪の適用対象となります。
そして数値基準を下回っていたとしても、児童が登下校中だったり道路が凍結していたりと、そのときの道路・交通状況によっては危険運転致死傷罪が適用される可能性があるということです。
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大分県大分市では2021年2月、当時19歳の少年が最高速度時速60kmの交差点に時速194kmで進入し、交差点を右折しようとした対向車に衝突、当時50歳の男性を死亡させる事故が発生しました。
この事故については2審の福岡高裁が危険運転致死罪の成立を認めず過失運転致死罪を適用したことから、福岡高等検察庁が判決を不服として最高裁に上告し、現在も審理が続いています。
このたびの法改正が今後の判決に影響するのか、また危険運転致死傷罪の適用が一般的な市民感覚に沿ったものとなるのか、その動向が注目されています。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。





















