ガソリン高騰で大型SUVに逆風も? 不利な燃費性能でも意外に変わる燃費改善方法とは
油脂類を変えると改善は見込める?
愛車の場合、根本的な構造や素材を見直すことができません。ですが、パワートレインの高効率化を進めることは「油脂類」によって可能です。そもそもクルマのエンジンや駆動部に油脂類が使われているのは、「冷却」「密閉」「洗浄」「防錆」以外に、「潤滑」という大切な役割があります。つまり滑らかに動くようにしているわけです。
ご存じの通り、エンジンオイルは多くの種類があり、高性能オイルと呼ばれている商品の中には、高出力化や省燃費を積極的に謳っているものもあります。実際、いいオイルを使うことは燃費改善に繋がるのでしょうか。神奈川県にある四輪駆動車専門店「ツインランド」の高松一也店長に聞いてみました。
「4WD車には、前後デフの他に、センターデフやサブトランスファーといったメカニズムがあります。その中にはそれぞれギアが入っており、さらにそれらをつなぐプロペラシャフトがあります。それらを駆動すると、そこでメカニカルロスが発生するわけです。オイルやグリースは、そのメカニカルロスを抑えるために重要。いいものを使うことによって高効率化し、併せて燃費の改善が望めます」とのことです。
同店では、パワークラスターという高分子タイプのオイルを、エンジン、デフ、ミッション、トランスファーに入れて高効率化を図っていると言います。
「エンジンオイルにいいものを使う人は多いのですが、意外と駆動系のオイルまでに高効率なものを入れる人は少ないですね。ですが、SUVやクロスカントリー4WDは、駆動系にも摩擦を少なくするオイルを使った方が低燃費につながりますし、低騒音化や走行性能改善も望めます」(「ツインランド」の高松一也店長)。
ちなみにすべての駆動系のオイルを交換するには3万円前後かかりますが、交換したほとんどのユーザーが燃費改善を実感しているといいます。多い時では約2割の燃費改善が望めることもあるようですから、決して高いランニングコストとはならないかもしれません。
最後はガソリンです。よく“レギュラー仕様のクルマにハイオクを入れると燃費が向上する”と謳っているガソリンスタンドがありますが、実際は変わりません。それぞれのエンジンが最高の性能を発揮するために使うガソリンのオクタン価が指定されているので、レギュラーにハイオクを入れてもエンジン自体の性能や効率が元以上にアップすることはありません。
ただし、ハイオク仕様の多い輸入SUVにレギュラーを入れてしまうと、かえって燃費が悪くなりますのでご注意ください。
今回はSUVの燃費改善について考えてきましたが、あまり燃費のことばかりに気を取られてしまうと、楽しくドライブできないのも事実。ガソリンを節約できるシーンでは抑えて、クルマの性能を発揮したいシーンでは使う。せっかくレジャー志向の強いSUVなのですから、たまには燃費度外視で走らせるのもいいのではないでしょうか。
【了】
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。