6年ぶり全面刷新の新型「“コンパクト”SUV」に乗った印象は? 全長4.5m級の“ちょうどいいサイズ”に1500cc「ターボ」搭載! 4WDモデルもあるアウディ「Q3」の実力とは

アウディ ジャパンは2026年5月19日、新型「Q3」および「Q3スポーツバック」を発売しました。6年ぶりの全面刷新で3代目へと進化した新型Q3は、どのような実力を備えているのでしょうか。自動車ジャーナリストの西川昇吾氏が「Q3 TFSI 110kW advanced」に試乗しました。

先進装備を充実させた新型コンパクトSUV

 アウディ ジャパンは2026年5月19日、日本市場における根幹モデルのひとつとなる新型「Q3」および「Q3スポーツバック」を投入しました。

 アウディのラインナップの中ではエントリーモデルに属するQ3ですが、今回のフルモデルチェンジで上級モデルと比べても遜色のない先進的装備が備わったのが大きなニュースといえます。

 特にその象徴といえる装備が、アウディ初の装備となる「インテグレーテッドスイッチモジュール」です。これは右側にシフトセレクター、左側にウインカーレバー、ライトスイッチ、ワイパースイッチを統合した操作系統で、より直感的な操作を可能にしながら省スペース化を実現しています。

 この装備の採用により、センターコンソール周辺が収納スペースとしてより有効活用できるようになりました。

 インテリアに関していえば、11.9インチスクリーンのバーチャルコックピットプラスと、12.8インチのMMIタッチディスプレイで構成されるMMIパノラマディスプレイも先進性を感じるポイントです。

 ドライバーを囲い込むように展開されたモニター類は、ドライビングの邪魔になることなく、豊かに情報と車内のエンターテインメントを提供してくれます。

 また、アウディらしいエクステリアライトの演出が秀逸です。片側2万5000個のLEDから構成されるヘッドライトシステムは、単純に明るく優れたアダプティブハイビームを実現しているだけでなく、走行状況や環境に合わせてドライバーに情報を伝えたり、帰宅時のアニメーション演出などが備えられたりしています。

シャープなフロントマスクが印象的な新型Q3。コンパクトSUVながら、上級モデルに通じる存在感を備えています
シャープなフロントマスクが印象的な新型Q3。コンパクトSUVながら、上級モデルに通じる存在感を備えています

 コンパクトモデルながら先進的装備と質感を持つQ3は、アウディらしさをギュッと凝縮して体現した一台なのです。

 実車を見てみると程よいサイズ感で、日本でも比較的運転しやすいだろうなという印象です。

 ボディサイズは全長4530mm×全幅1860mm×全高1610mm(スポーツバックは1570mm)となっています。先代と比べると違いは全長が4cm大きくなった程度、またCピラーが寝かされたスポーツバックでも、通常時のトランク容量がノーマルボディと同じなのも嬉しいポイントといえます。

 パワーユニットは2種類で、最高出力150馬力の1.5リッター直列4気筒ターボとマイルドハイブリッドを組み合わせる110kWモデルと、最高出力204馬力の2リッターターボの150kWモデルです。

 2リッターにはアウディ伝統の4WDシステムであるquattro(クワトロ)が組み合わされます。なお、先代モデルではディーゼルとquattroの組み合わせがラインナップされていましたが、現行ではガソリンとマイルドハイブリッドのみのラインナップとなっています。

先進的ながら馴染みやすい乗り味

 走り出してみると、先進的な装備や見た目とは裏腹に、乗り味に強いインパクトがないというのが第一印象でした。

 それはネガティブな意味合いではなく、奇をてらった部分がなく多くの人に馴染みやすいだろうという意味合いの方が大きく、愛車にしたら疲れが少なく長く付き合えそうだなといった雰囲気です。

 今回の新装備である「インテグレーテッドスイッチモジュール」は好感触。特にシフト操作が指先で完結するのはとても快適です。

 近年、ステアリングコラム側にシフトセレクターを有するクルマは増えてきましたが、その中でも最も洗練されていて、この手の装備のひとつの完成形を見たと思えるほどです。

リアまわりは水平基調のデザインでワイド感を強調。コンパクトSUVながら安定感のある佇まいを見せます
リアまわりは水平基調のデザインでワイド感を強調。コンパクトSUVながら安定感のある佇まいを見せます

 ウインカーもワンタッチと右左折用のクリック感がしっかりと分けられていて迷うことがありません。これほどコンパクトで扱いやすいユーザーインターフェースになっているとは、使うまで想像ができなかったと思うほどです。

 新しく採用された2バルブ式の電子制御ダンパーがもたらす乗り心地は、程よい締め感があるが乗り心地も意識したといった具合で、スポーティな要素と同乗者が快適だと感じる乗り心地の両立を実現しています。

 当日後部座席に乗ったカメラマンも広くて乗り心地が良いと好感触を得ていた様子でした。

 走行モードをダイナミックにすると一気にハードな乗り味に。同乗者からは不評となりそうなハードさでしたが、1人でのドライブ時の楽しさも重視していることが伝わるものがありました。

 ただ、低速域のブレーキタッチとステアリングフィールはインフォメーションにやや乏しく、ドライバーに対してコントロールをしている感触が薄く感じられました。

 今回試乗した1.5リッターターボのマイルドハイブリッドでも、日常域では十分な性能を有しています。低回転域から十分なトルクがあり、パワーユニットからのサウンドも少ないです。

 ただ、ロードノイズや風切り音はほかの同クラスのモデルと比べるとやや大きい印象があるので、パワーユニットの静粛性の高さがちょっともったいないとも思えたポイントです。

 アウディらしい先進性を全身にまとった新型Q3。これだけ先進装備が多かったら高いのでは? と思うのですが、価格(消費税込)は550万円から。円安の昨今、輸入車SUVのライバルと比べると、とても魅力的な価格設定といえます。

 輸入車SUVを検討している人には、ぜひ実車をチェックしてほしい一台と自信を持っていえる存在です。

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Writer: 西川昇吾

1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタートさせる。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手掛ける。また自身でのモータースポーツ活動もしており、その経験を基にした車両評価も行う。

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