軍用車から派生したと言われる「Gクラス」 実はカーマニアの国王の鶴の一声で誕生!?
従来と同じ「W463」という型式ながら、中身をガラリと変えて新世代というのにふさわしい性能を持ったメルセデス・ベンツ新型「Gクラス」。その源流へと辿った時に、必ず言われているのが「軍用車から派生した」ということです。ですが、実はGクラスの出自は違っているのです。
時代を超えて魅了し続けている名車「Gクラス」誕生秘話
機能性を優先したシンプルなボディデザインに、オールラウンダーとしての優れた性能、スリーポインテッドスターならではの高級感。クルマとしての様々な要素を内包するメルセデス・ベンツ「Gクラス」は、時代を超えて人々を魅了し続けている名車です。
現在ではレンジローバーと並んで高級SUVなどと言われるGクラス。一部のファンからは「昔のゲレンデヴァーゲンは良かった。元々軍用車なのに、こんなに豪華主義のクルマになってしまうなんて…」と言われることも。たしかに、時代と共にGクラスは高級化を推し進めてきましたが、決して戦場で戦うための機能性オンリーのクルマとして生まれたわけではないのです。
Gクラスの原点、高性能なクロスカントリー4WDの企画がスタートしたのは、1972年のことです。当時、ダイムラー・ベンツ社の株を18%も所有するイラン・パフラヴィー朝のモハンマド・レザー・パフラヴィー王(パーレビ国王)の鶴の一声で決まったと言われています。パーレビ国王は世界的に有名なカーマニアであり、自国の砂漠地帯の国境警備や王族が狩猟に使う四輪駆動車を欲していました。
大株主の意向により、ダイムラー・ベンツ社は開発を決めますが、長らく四輪駆動車を造っていなかったため、自社のみで早急に四輪駆動車を開発することは実質不可能でした。そこで大戦中に装甲車などを製造していたオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフ社と組むことにしたのです。
両社は「GfG」という合弁会社を立ち上げて、開発に臨みます。開発にあたっては、優れた悪路走破性、高い快適性と安全性が主眼となり、これは新型Gクラスまで変わらぬDNAとなりました。このことからも分かるように、このモデルは決して軍用車としてのみ生まれたわけではなかったのです。