日本で絶大な人気のミニバンがこの10年で10車種以上も生産終了 次々と消える理由とは
日本では3列シートのミニバンが高い人気を得ています。しかし最近は状況が変わり、そのミニバンも車種数が減ってきました。新に登場する車種も若干ありますが基本的には減少傾向です。いったいなぜなのでしょうか。
イプサム/ストリーム/MPV… 一世を風靡したミニバンなぜ消えた?
日本では3列シートのミニバンが高い人気を得ています。しかし最近は状況が変わり、ミニバンも車種数が減少。通常ならフルモデルチェンジを受けても良い年数が経っても新型を投入しない「エスティマ」や「エルグランド」といった車種も増えています。いったいなぜなのでしょうか。
10年前(2008年)と今を比べると、トヨタではマークXジオ/イプサム/ウィッシュ/アイシスが生産を終えています。同様に日産ならばプレサージュ/ラフェスタ/キューブキュービック、ホンダではエリシオンやストリーム、マツダではプレマシー/ビアンテ/MPV、三菱はグランディス、スバルではエクシーガ(2015年にエクシーガクロスオーバー7に発展)などが終了しました。ホンダのモビリオはフリードに切り換わり、ジェイドのように新たに発売されたミニバンもありますが、基本的には車種が減っています。
これらの廃止されたミニバンに共通するのは、エリシオンを除くと、全高がすべて1700mmを下まわることです。イプサム、ウィッシュ、ストリームなどは、スライドドアも装着されていません。
背の低いワゴン風のミニバンは、1990年代には相応に注目されました。当時は多くのユーザーがミニバンに不慣れで、ヴォクシーのような背の高い本格的な車種の購入には踏み切れません。セダンからミニバンに乗り替える過渡的な段階で、背の低い車種も好調に売れました。
重心も下がるために走行安定性が優れ、カーブなどで左右に振られにくいから乗り心地も快適です。当時はワゴンが人気を下げて車種数も減り始め、その代わりに背の低いミニバンが購入されることもありました。
しかし2005年頃になると、ミニバンも普及の開始から約10年を経過して、珍しい存在ではなくなります。多人数の乗車や、自転車の積載といった明確な目的のあるユーザー以外、ミニバンを買わなくなりました。2008年にエクシーガが発売された時は、「どうしてスバルは今ごろになって背の低いミニバンを発売するの?」と不思議に思ったものです。予想通り発売直後から販売が伸びず、いわば苦肉の策で、SUV風のクロスオーバー7に変更しました。
このような経緯から、背の低いミニバンは売れ行きを下げて、車種数が減ってきました。今売られているミニバンは、大半が背の高い車種です。そしてミニバンの減少傾向は、今も続いています。