【トップに聞く】「商用EVの空白地帯を狙え」Kia PBV Japan田島社長が語る、次世代モビリティ日本上陸の勝算とは
2026年5月、韓国Kiaの次世代EVバン「PBV」が日本へ本格上陸を果たしました。国内の小型商用EVの選択肢が限られる中、第1弾モデル「PV5」は法人の環境対応やコスト課題をどのように解決するのでしょうか。直営第1号店のオープンを機に、Kia PBV Japanの田島靖也社長に話を伺いました。
Kia PBV Japan 田島靖也社長インタビュー
Kia PBV Japanは2026年5月13日に、EVバン「Kia PBV」の日本導入を発表。その2日後となる15日には、東京都西東京市に日本国内直営第1号店となる「Kia PBV 東京西」が開業しています。
日本国内の商用EVの選択肢が限られる中、第1弾モデル「PV5」は法人の環境対応やコスト課題をどのように解決するのでしょうか。
今回は、Kia PBV Japanの田島靖也社長を直撃。日本市場への勝算と独自の事業戦略に迫ります。

日本市場への導入第1弾として発売されたのは、多目的EVモビリティ「PV5」です。
ラインナップは、2人乗りで積載効率を極限まで高めた「PV5カーゴ」(消費税込619万円〜)と、大人5人が快適に座れる乗用仕様の「PV5パッセンジャー」(679万円〜)の2タイプが用意されています。
EV専用プラットフォームをベースに、ロングレンジバッテリー搭載モデルでは一充電航続距離528kmを誇ります。
さらに商用向けとしては最大196万4000円の補助金適用が見込まれるなど、実用性とコストパフォーマンスを兼ね備えた、まさに新世代のビジネスツールです。

■空白の市場に「SMART」な一石を。田島靖也社長インタビュー
直営店の開業を迎え、本格的な始動を果たしたKia PBV Japan。
現在の日本市場におけるEVシフトの現状や勝算、そして目指すべき未来について、田島靖也社長(以下、田島社長)に話を伺いました。
── 現在の日本市場は「EVシフトが緩やか」とも言われますが、このタイミングで参入を決めた理由と勝算をお聞かせください。
たしかに全体の動きを見れば、現在のEVシフトは緩やかに映るかもしれません。しかし、電動化という大きな流れそのものは決して止まることなく、今後も継続していくと確信しています。
特に私たちがターゲットとする物流や業務用といった「商用領域」においては、企業のカーボンニュートラルに対する意識が非常に高いため、明確で強いデマンド(需要)が間違いなく存在しています。
さらに、現在日本の商用EV市場を見渡してみると、ユーザーが選択できる商用EV(eLCV)の選択肢は非常に限られています。
この「空白の市場」に対して、Kiaの最先端モビリティを投入できることには大きな機会(チャンス)があると確信しています。
── 国内外のライバル車と比較した際、「PV5」が選ばれる最大の強みはどこにありますか。
一言で申し上げれば「SMART(スマート)」というコンセプトに凝縮された、圧倒的なバランスの良さです。
EVならではの静粛性と快適な乗り心地を両立した「Silent Mobility(S)」、国内での自由な架装を前提とした「Modular Expansion(M)」、荷物の積み下ろしが楽なフラット低床フロアの「Accessible low floor(A)」、積載効率を極限まで高めた大容量空間の「Roomy Interior(R)」、 そして先進のADASを標準装備した「Total Safety(T)」。この5つの要素が高い次元で融合していること自体が、他社にはない魅力となっています。
現在、法人・個人問わず「環境対応」と「コスト」の両立が強く求められています。PV5は、世界情勢に左右されがちなガソリン・ディーゼル車に比べて電気代のボラティリティ(価格変動)が低く、日々の運用計画が立てやすいというメリットがあります。
さらに定期メンテナンスのコストも抑えられるため、長く使っていただくほどに、トータル・コスト・オブ・オーナーシップの面で大きなメリットを実感していただけるはずです。

── Kia PBVジャパンは、総合商社である「双日」のグループ会社です。ビジネスユーザーにはどのような独自のメリットを提供できるでしょうか。
双日グループは、カーボンニュートラルへの取り組みを多角的に推進しています。そのため、単に車両を売るだけでなく、充電マネジメントやカーボンクレジットを担当する部隊など、双日グループ内の他事業と連携した強力なシナジーを提供できるのが強みです。
さらに、グループ内の広範な企業ネットワークを通じて、脱炭素化を推進する多くのビジネスパートナーの皆様と、産業の枠を超えた新しい価値や機会を創出できると考えています。
総合商社としての領域の広さこそが、私たちの選択肢の広さであり、お客様のメリットにつながるのです。
── 商用車において「車を止めないこと」は絶対条件です。BSサミット様との提携など、整備や部品供給の体制はどのように整えていくかお聞かせください。
ビジネスで使われる以上、車両の稼働を止めない安定性は最重要課題として深く認識しています。
アフターサービスについては、自動車修理のプロフェッショナルである「BSサミット事業協同組合」様と提携し、まずはEV対応設備を備えた全国50拠点以上を指定サービス工場として設定すべく動いています。
もちろん、これだけではまだ不足していると承知していますので、全国のサービス指定工場のネットワークは今後さらに拡大し、どこでもKiaの品質でサービスを受けられる体制を整えてまいります。
また、部品供給の面では、神奈川県横浜市に専用の補修部品倉庫を新設しました。ここからスムーズかつ迅速に部品を供給できる体制を確立しています。
── 車両の販売だけでなく、運行管理システムや充電インフラ整備の手助けといった「ソフト面のサービス」もパッケージで提供していく構想はありますか。
もちろん、ソフト面でも万全の周辺ソリューションをパッケージしていきます。フリートマネジメントシステム(運行管理)についてはKiaでも用意をしていきますが、すでに日本で実績のある国内事業者様たちと積極的に手を取り合って進めることが大切だと考えています。
充電インフラに関しても、様々な強みを持つ複数のCPO(充電器事業者)様とお話をさせていただいています。
お客様が本当に求めているインフラや周辺サービスを、各社様とのアライアンスを通じて柔軟に、選択肢豊富に提供できる体制を作っていきます。
── 商用利用だけでなく、キャンピングカー事業者との提携など「趣味・アウトドア」層へアプローチする意図を教えてください。
実は、BtoCにおけるアプローチの主軸として考えているのがキャンピングカー市場です。
今回ディーラーとして契約させていただいたパートナー様の多くも、キャンピングカー事業に関わられている方々です。
PV5が持つ「圧倒的な室内の広さ」「低床フロア」「高い安全性」は、キャンピングカー架装との親和性が非常に高いのです。
さらに、従来のガソリン車やディーゼル車で必要だった「追加のサブバッテリー(追加電源)」が、この大容量バッテリーを持つEVであれば不要になります。
限られたスペースを犠牲にすることなく、フラットな大空間を自由にカスタマイズできるため、ビルダーの皆様や趣味を愉しむお客様へ、これまでにない新しい選択肢を提供できると考えています。
── 最後に、今後「PV7」や「PV9」への拡大も予定されていますが、日本の商用車市場にどのような新しい風を吹き込みたいか、田島社長の「志」をお聞かせください。
私たちの目指すところは非常に明確です。それは、日本のお客様に「EVバンといえば、KiaのPBV(Platform Beyond Vehicle)だ」と自然に認識していただけるようになることです。
PBVという存在が、これからの日本の商用EVにおけるデファクトスタンダード(事実上の標準)として広がっていくことを目指しています。
そのために、Kiaからも強力なサポートを得ており、今後の製品導入計画も明確です。
まずはこのPV5のトライアル導入から着実に実績を積み上げ、現場の声を真摯に吸い上げて、これからの日本の社会課題・物流課題に対する明確なソリューションを示していきたいと考えています。
始まったばかりの挑戦ですが、自信を持って、地道に地に足の着いた歩みを進めてまいります。

※ ※ ※
Kiaの商用EV戦略の旗手として、日本上陸を果たした「PV5」。
独自の「SMART」コンセプトを具現化したプロダクトとしての魅力はもちろんのこと、双日との強固なアライアンス、 そして全国に張り巡らせようとしている緻密なサービス・部品供給インフラの存在が、その本気度を裏付けています。
直営1号店「Kia PBV 東京西」を皮切りに、今後は厚木、東名横浜、名古屋東、鈴鹿、倉敷、福岡東へと瞬く間に広がっていく予定の販売ネットワーク。
日本のビジネス、そしてライフスタイルに「PBV」という新しい風が吹き始めようとしています。
Writer: くるまのニュース編集部
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