7年ぶり復活へ! 三菱「“新型”パジェロ」どんなモデルに? 高性能エンジン搭載? 価格は800~900万円台? 新たな5代目どんなモデルに?
三菱自動車は、2026年秋に新型「パジェロ」を世界初公開すると予告しました。新型パジェロは、どのようなクルマになるのかを考えてみました。
日本では7年ぶりの復活を果たす5代目
三菱自動車は2026年5月29日の「新中長期ビジョン発表」にあわせ、新型「パジェロ」を2026年秋に世界初公開すると発表しました。
1982年に登場したパジェロは、三菱ジープを源流とする本格クロスカントリーSUVです。乗用車のようなスタイルと高い悪路性能を両立し、同社のフラッグシップとしてブランドを牽引しました。
過酷なダカールラリーでの総合優勝を重ねて信頼性を高め、1991年発売の2代目はRVブームの中で大ヒットを記録。その後も進化を続け、世界170以上の国と地域で累計325万台を販売しましたが、工場の閉鎖などに伴い、2021年に39年の歴史に幕を閉じました。
しかし、根強いファンからは復活を望む声が多く寄せられており、近年の三菱が「デリカミニ」や「トライトン」など、SUVに強い三菱ブランドらしい車種を相次いで発売し好評を得ていたこともあって、期待は高まっていました。
パジェロは、走破性に優れたクロスカントリー4WD車に乗用車の快適性をミックスさせた新たなコンセプトを持つクルマとして1982年に初代モデルが誕生し、それから日本だけでなく世界中で累計325万台以上を売る大ヒット車となりました。
今のSUV人気の土台を築いたモデルのひとつと言えるでしょう。日本においてパジェロは2019年に生産が終了しており、今回の発表は、7年ぶりの復活を意味します。
三菱自動車は、新中長期ビジョンの中で、今後は三菱自動車らしい「尖った商品」を出してゆくと宣言しており、さらにパジェロもシリーズ化して、他2モデルの登場を示唆しています。
そんな新型パジェロが、どんなクルマになるのかを考えてみましょう。
新型パジェロでわかっていることは?
今回の新型パジェロ発表の予告では、新型モデルの内容として「トライトンのラダーフレームを採用」「クロスカントリーSUVとして新規に専用開発」「タイで生産する」「フラッグシップ」であることが明かされました。
また、新中長期ビジョンとして、2026~2031年に13車種もの新型車を投入することも発表しています。注目は、その13車種の新型の内訳です。
三菱自動車は、5モデルがハイブリッド(HEV)、5モデルがプラグインハイブリッド(PHEV)であると説明します。
さらに13車種のうちの5モデルが日産やルノーとの協業モデルであり、その協業モデルのうち3モデルがバッテリーEV(BEV)だといいます。つまり、5モデルがHEV、5モデルがPHEV、そして3モデルがBEVということがわかります。

そんな中で「フラッグシップ」に相当する新型パジェロが何になるのかといえば、当然、PHEVになるでしょう。
なぜなら、PHEVは三菱自動車が最も得意とする技術であり、しかもHEVよりも高額になります。「フラッグシップ」は、最も高額であってしかるべき。ですから、新型パジェロのパワートレインは、PHEVになると考えられます。
また、新長期ビジョンの中で三菱自動車は、PHEVとHEVに特化した、新型エンジンを開発したことも発表しています。それは世界トップクラスとなる熱効率48%を実現しているというから驚きです。
ちょっと前までは、熱効率40%もいけば、“すごい”というのが常識でした。それよりも8%も優れているのです。しかも、そのエンジンにあわせて、電動化システム全体も次世代化されているとか。
そのパワートレインを新中長期ビジョンでは、「これら新技術をフレームモデルを含むすべての電動車に搭載していきます」と説明していました。
わざわざ「フレームモデル」と言っていますから、それがラダーフレームを使う新型パジェロであることは間違いないでしょう。
新型パジェロがPHEVになるというのであれば、4WDの駆動方式もおのずと予想できます。
それは、後輪をモーター駆動する、電動4WDです。フロントのエンジンから後輪に向かうプロペラシャフトを使わない方式です。
近年の三菱自動車は、アウトランダーPHEVなどで電動4WD技術を磨き上げています。
そうした技術の蓄積が、フラッグシップであるパジェロへの、最新の駆動方式の採用につながったのでしょう。
また、新中期ビジョンでは、四輪制御技術と電動化技術を磨き上げることで、知能化へも対応すると説明されていました。
電動で制御することで、より緻密にクルマの動きをコントロールすることができます。先進運転支援システム(ADAS)という点でも、非常に高度なものとなるのではないでしょうか。
いわゆる、ナビゲーション・オン・オートパイロット(NOA)の実現だけでなく、高速道路だけでなく、一般道で使える機能が搭載されることを期待したいと思います。
ラダーフレームを使いつつもサスペンションは専用設計
では、シャシーは、どのようなものになるのでしょうか。三菱自動車の説明では「『トライトン』のラダーフレームをベースに改良を施し、キャビンや前後サスペンションなどを専用開発することで、卓越した悪路走破性はもとより、上質かつ快適な乗り心地を実現」とあります。
ここで注目は、前後サスペンションを専用開発すると言っていることです。歴代パジェロは、フロントがダブルウィッシュボーンでリヤがマルチリンクという、前後とも独立懸架方式を採用していました。その方式も、当然、新型に継承されることが予想できます。
また、ラダーフレームの使い方もトライトンとは異なるはずです。歴代パジェロは、ラダーフレームを使いつつも、モノコックと一体化したラダーフレーム・ビルトイン・モノコックを採用しています。新型パジェロでもラダーフレームをそのまま使うのではなく、歴代モデルと同じ方式を採用するはずです。
フラッグシップに相応しい内容と価格帯
こうした予想を重ねていくなかでイメージできるのは、新型パジェロは、現在の「アウトランダーPHEV」を、より大きく、よりタフで、より豪華なものにしたモデルのように感じられます。先進性に、よりタフさと、豪華さをプラスしたモデルです。
そうなれば、当然、価格も高くなるでしょう。そもそも新中長期ビジョンで三菱自動車は「収益アップ戦略2.0として、ブランド価値を徹底的に訴求することで、収益力をもう一段引き上げていきます。具体的には、高付加価値商品の投入による高価格帯顧客などの新たな顧客層の取り組み~」と言っていました。
これは言い換えれば、「フラッグシップという高付加価値商品のパジェロで、高価格帯顧客の取り組みを狙う」というものです。高価格帯顧客向けですから、安いわけはありません。
さらに、三菱自動車は新型パジェロ投入にあわせて、ハイブランド旗艦店を新設するとも言っています。トヨタでいえば、レクサス店を追加するようなもの。トヨタ「ランクル300」ではなくレクサス「LX」をイメージさせるのが新型パジェロなのです。
ですから価格は、現在の三菱自動車で最も高額な現行アウトランダーPHEVよりも上になることでしょう。アウトランダーPHEVが600万円台からとなっていますから、新型パジェロは800~900万円台でスタートするはずです。
今回の新型パジェロの投入に合わせ、三菱自動車は、ブランド全体の底上げを狙っていることがわかります。ブランド全体を引き上げるのが新型パジェロの役割です。相当に気合の入ったモデルであることは間違いありません。詳細が発表される秋を期待して待ちましょう。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。
著書「自動車ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)















































