スズキ「軽トラ」に革新的システム搭載!? 走りながら出来るエコな技術とは? ハウス農業の課題解決なるか
スズキは軽トラックの排気ガスからCO2を回収し、農業ハウスで有効利用する新技術を公開しました。カーボンニュートラル燃料との併用で「カーボンネガティブ」の実現を目指す。現在ベンチ試験段階にあり、今後は自社農園での実車検証に移行していくといいます。インフラ整備に向けた他社との協業も視野に実用化を探っているようです。
排気ガスからCO2分離、ハウス農業の燃料費削減へ スズキの実証実験
人とクルマのテクノロジー展でスズキは、「スーパーキャリイ」の排気ガスからCO2を回収する技術を展示しました。
カーボンニュートラル燃料の活用と農業利用構想について、実車に搭載された試作装置の仕組みと、会場で担当者が語った実証実験の現状を交えて解説します。

スズキは、軽トラックの走行時や農作業時に排出されるCO2を回収し、農作物の成長促進に活用する技術開発を進めています。
会場には、実車に回収システムを搭載した「スーパーキャリイ」が展示されました。
車体側面には専用のデカールが施されています。この技術は、カーボンニュートラル燃料(CNF)の使用とCO2回収を組み合わせることで、カーボンネガティブの実現を目指すものです。
荷台部分に設けられた透明なカバーの内部には、ステンレス製の円筒形タンクや配管が配置されています。

この仕組みについて担当者は「まず配管から排気ガスを流し込み、冷却器でガスを冷やします。次に吸湿材へ通すことでガスに含まれる水分を吸着させ、その後にCO2吸着材へと流し込んでCO2を回収し、残りのガスを外へ出すという工程になります」と作動プロセスを説明します。
排気ガス中の水分はCO2回収の阻害要因となるため、吸湿材で効率的に除去することが重要となります。
回収したCO2は、農家が利用するビニールハウスなどで植物の育成促進に活用される計画です。
スズキの試算では、1日20km走行した場合、車両から排出される約2kgのCO2のうち半分の約1kgを回収できるとされています。
これを20アールのハウス農業で利用した場合、灯油燃焼によって供給しているCO2の約25%を置換でき、1日あたりの灯油消費量を約0.4リットル削減できる見込みです。
担当者は「農家さんは植物の育成を促進するために、わざとCO2を供給しています。この車両から出てくるCO2を有効利用できれば、灯油の量も減らせます」とその狙いを語ります。
さらに、吸着材からCO2を脱離させるには熱が必要ですが、「農業施設の灯油を燃やす際に出る熱は捨てられてしまっています。その熱を有効利用して脱離させ、より濃いCO2を供給してあげれば一石二鳥になります」と、既存設備の排熱を無駄なく活用するアイデアも明かしました。

開発は現在、エンジン単体を用いたベンチ試験の段階にあり、今後は自社農園(スズキ農園)との連携を通じて実車のテストへと進む予定です。
展示車両は既存のキャビン後方スペースを流用して装置が組み込まれており、大掛かりな構造変更は行われていません。
担当者は「将来的にパッケージ化して、すでにスーパーキャリイを持っているお客様にも後付けで購入できるような未来もあり得る」と述べており、既存ユーザーへの展開も視野に入れています。
しかし、実用化に向けては「よりコンパクトで、よりCO2を吸着できるようなものを開発していく必要があるため、これがそのまま量産されるわけではない」とも語り、装置の小型化と効率化が課題となります。現段階では実証目的であるため、導入コストについては今後の検討事項とされています。

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この技術の確立には、排気ガスから水分を除去する吸湿材や、低コストで高効率な金属有機構造体(MOF)などの吸着材を開発する素材メーカーとの連携が不可欠です。
担当者は「吸着材や吸湿材の探索には材料メーカーの協力が必須」と現状を説明します。
また、CO2の回収や利用に関する社会実装は、自動車メーカー1社のみで完結するものではありません。
担当者は「他社メーカーも取り組んでいるなかで、インフラなどは業界全体で取り組んでいかなければならない領域」と担当者が語るように、同業他社や異業種との協業が普及の鍵を握ります。
農家の課題解決と環境負荷低減を両立させる本システムの実用化に向け、さらなる技術開発が期待されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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