飲酒した夫に妻が「買い物に連れて行って」懇願!? 飲酒運転で事故起こす… 判決は夫婦それぞれに有罪! 妻の罪状は?
先日、飲酒運転で事故を起こした夫と、飲酒していることを知りながら夫にクルマの運転を依頼した妻の判決公判が長崎地裁で開かれました。クルマを運転していなくても、罪に問われるケースがあるため注意しなければなりません。
“頼んだだけ”では済まされない!? 飲酒運転を後押しした人にも及ぶ法的責任とは
2026年5月14日、飲酒運転で物損事故を起こして道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた60代の夫と、飲酒していると知りながら夫にクルマの運転を頼み、酒気帯び運転を教唆したとして罪に問われた60代の妻の判決公判が長崎地裁で開かれました。
この事案は2025年8月31日に、夫が自宅で発泡酒や焼酎の水割りなどを飲んだ後にクルマを運転し、自宅近くの市道を約900m走行したうえ、ガードレールに衝突する事故を起こしたものです。
夫の呼気からは基準値(0.15ミリグラム)の約4倍にあたる0.59ミリグラムものアルコールが検出されました。
なお事故当日は、夫が正午頃から飲酒していたところ、運転免許を持っていない妻が「家に食べ物がないから買い物に連れて行ってほしい」と声をかけたということです。
夫は一度断りましたが、仮眠後の午後4時半頃、妻から再び「買い物に連れて行ってほしい」と頼まれたため、飲酒した状態でクルマの運転に至りました。
公判の中で夫は、「今運転すれば飲酒運転になると思っていたが、事故を起こさなければ大丈夫だと思った」などと話しました。一方で妻は買い物について「その日でなくても良かった」などと供述しています。
また、夫は検察から過去の飲酒運転の経験について問われた際、過去にも2~3回、タバコを買うために飲酒運転をしたと話しており、飲酒運転を繰り返していた実態もうかがえます。
判決で裁判長は、「妻は夫が飲酒していると知りながら何度も運転するよう依頼しており、教唆に該当する。夫婦ともに遵法意識が希薄」などと指摘したものの、2人には前科がなく更生の余地があるなどとして、それぞれに拘禁刑1年(執行猶予3年)を言い渡しました。
この判決に関してインターネット上では「他人を巻き込まなくて良かったな。巻き込んでいたらどう責任を取るつもりだったのか」「飲んだら運転しない。こんな簡単なことができないのに反省できるのか?」「絶対に(飲酒運転は)過去2、3回どころではない。常態化していて、運が悪かった程度にしか思っていない」など、批判の声が相次いでいます。

このように、酒気帯び運転をして検挙されると「3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科せられるほか、呼気中のアルコール濃度に応じて免許停止や免許取り消しといった行政処分が下されます。
今回の事案では呼気1リットルあたり0.59ミリグラムのアルコールが検出されているため基礎点数25点が加算され、行政処分前歴がない場合であっても、免許取り消し処分(欠格期間2年)となります。
また、相手が飲酒していると知りながらクルマを運転するよう依頼する行為は今回のように教唆(人をそそのかして、その人に犯罪を実行する決意をさせること)に当たり、たとえ運転をしていなくても刑罰の対象となります。
さらに、運転者が飲酒していると知りながらクルマに同乗したり、クルマを運転すると知りながらお酒を提供したりする行為のほか、飲酒している人に車両を提供する行為も処罰される可能性があります。
特に飲酒運転の同乗罪に関しては、運転者がお酒を飲んでいると知らなかったとしても、言動や見た目、においなどから飲酒が容易に認識できたと判断されれば、同乗者にも責任を問われるおそれがあります。
もし酒気帯び運転のクルマに同乗していた場合、同乗者にも「2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」が科されます。
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「クルマを運転する人にお酒を提供する」「運転者に要求・依頼して車両に同乗する」「飲酒している人に車両を提供する」などの行為は飲酒運転の周辺三罪と呼ばれ、運転者以外の人であっても処罰の対象となります。
飲酒する際は、自分が飲酒運転をしないという心がけはもちろんですが、周囲の人が飲酒運転をしないよう確認するなど、社会全体で飲酒運転に対して厳しい目を向けていくことが大切です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。












