上に「給油ホース」がぶら下がってる!? 地面に“給油機”がない「ガソリンスタンド」どうやって給油するの? 今や珍しい「懸垂式スタンド」のメリットと“知られざる仕組み”とは

「地面に計量機(給油機)がなく、天井からホースとノズルがぶら下がっている」ガソリンスタンドを目にしたことはないでしょうか。これは現在激減しつつある、「懸垂式(けんすいしき)」と呼ばれる給油システムです。

地面に“給油機”がない「ガソリンスタンド」どうやって給油するの?

 2026年もいよいよ春のゴールデンウィークの大型連休に入りました。

 帰省や行楽で長距離ドライブに出かけ、愛車のエネルギー補給のために見知らぬ土地のガソリンスタンドに立ち寄る機会も多いことでしょう。

 そんなドライブの道中、ふと入ったガソリンスタンドで「地面に計量機(給油機)がなく、天井からホースとノズルがぶら下がっている」という光景を目にしたことはないでしょうか。

 普段、セルフ式のスタンドばかりを利用している人にとっては不思議に見えるかもしれませんが、これは「懸垂式(けんすいしき)」と呼ばれる給油システムです。

 近年では少しずつ姿を消しつつある懸垂式ですが、一体なぜこのような形をしており、どのように燃料を吸い上げているのでしょうか。

 上からノズルが降りてくるため、「燃料タンクも天井の裏に設置されているのでは?」と想像する人もいるかもしれません。

 しかし、実は一般的な地上に給油機があるスタンドと同じく、燃料を貯蔵するタンクは地下に埋まっています。

 地下のタンクに補充されたガソリンや軽油を、強力なポンプを使って一度天井の配管へと圧送し、そこからホースを伝って下へと送り出しているのです。

地面に“給油機”がない「ガソリンスタンド」どうやって給油するの?
地面に“給油機”がない「ガソリンスタンド」どうやって給油するの?

 この懸垂式が採用されている最大の理由は、「限られた敷地を最大限に活用できる」という点にあります。

 都市部などの狭小な土地において、地上に大きな計量器を設置してしまうと、クルマの動線が制限されて一度に給油できる台数が限られてしまいます。

 しかし、天井からノズルを吊るす方式であれば、地上の障害物がなくなるため、同じ広さの敷地でも約2倍の台数を同時に受け入れることが可能になるのです。

 さらに、ドライバーにとって嬉しいメリットもあります。

 それは「車の給油口の向きを気にせず、どのレーンに停めても給油できる」ということです。

 地上固定式のスタンドでは、クルマの給油口(右側か左側か)に合わせて進入するレーンを選ばなければなりません。

 しかし懸垂式の場合、天井のユニットが左右にスライドするうえ、ノズルを引き下ろした状態からさらにホースを手元へ伸ばすことができます。

 そのため、給油口が同じ側にあるクルマが連続して来店しても、わざわざ移動させることなく、スムーズに給油作業を行うことができるのです。

 また、働くスタッフにとっても効率的な仕組みが組み込まれています。

 機種によっては、手元の操作だけで給油完了のセンサーが働き、いちいちノズルを元の位置に戻すことなく代金の精算処理へ移行できるものもあります。

 これにより作業時間が短縮され、空いた時間で窓拭きや洗車、他のサービスの提案などに注力しやすくなるという店舗側のメリットも存在するのです。

 一方で、懸垂式ならではのデメリットや苦労もあります。

 この方式は基本的にスタッフが給油を行う「フルサービス」を前提として設計されているため、無人のセルフ式スタンドには適していません。

 手の届く位置にノズルがぶら下がっているため、夜間などにイタズラや盗難の標的になるリスクがあるからです。

 また、背の高い大型トラックが通過する際にホースが荷台に引っかかって断裂してしまう事故への警戒や、高い天井部分に鳥が巣を作ってしまいフン害に悩まされるといった、構造上の悩みも抱えています。

 くわえて、クルマをスムーズにホースの届く位置へ誘導するためには、スタッフの経験と距離感を掴むスキルも求められます。

 近年はセルフ式スタンドの普及に伴い、この「ぶら下がり式」を見かける機会は少なくなってきました。

 しかし、日本の狭小な土地事情に合わせて進化した、非常に合理的で機能的なシステムであることは間違いありません。

 今年のゴールデンウィークのドライブ中、もしこの懸垂式スタンドに立ち寄る機会があれば、上からノズルが降りてくる様子や、熟練スタッフの無駄のない誘導テクニックを少し観察してみてはいかがでしょうか。

【画像】「ええぇぇ…!?」 これが意外すぎる「ぶら下がり式スタンド」の構造です!(5枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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