海のギャングによる神ワザ駐車を見た! 北米へと旅立つ自動車専用船「ハーキュリーズリーダー」に潜入
自動車の輸出はかつてよりだいぶ少なくなりましたが、日本で生産して海外への輸出は継続して行なわれています。海外に輸出する場合は「自動車専用船」といわれる船を使うことが一般的ですが、その自動車専用船のなかに潜入した模様を紹介します。
自動車メーカーの輸出における重要な存在
日本の自動車メーカーが海外に自動車を輸出する際に、出番となるのが自動車専用船です。最近では、アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏が日米間における自動車貿易についても発言していることから、輸出については「貿易摩擦」だと話題になりました。
財務省が発表している「日本の自動車輸出相手国上位」では、1位「米国」、2位「オーストラリア」、3位「中国」。そのなかで、日本における対米自動車貿易は、輸出が175万0294台に対し、輸入は1万9933台となり、単純に台数で比較すると、アメリカから運んでくるクルマの台数は、アメリカへ向けて送るクルマの台数の1.1%程度しかありませんから、ドナルド・トランプ氏が目くじらを立てるのも無理はありません。
国内自動車メーカー各社の生産・輸出台数(2017年度)は、米国が低迷したものの中国を中心に海外生産を伸ばしつつあり、国内生産も輸出需要の増加により拡大するなど海外市場の好調が目立っています。
このように、海外生産が進む一方で、メーカーによっては輸出もまだまだ盛んに行なわれています。輸出において重要な存在となるのが、今回取材した「自動車専用船」です。自動車メーカーのスバルが新型「フォレスター」の公道試乗会に合わせて『船積み体験会』を実施しました。
クルマを海外へと運ぶ「自動車専用船」は滅多に立ち入ることはできません。そこで、船内の様子やクルマを船内に積み込む神業を紹介しようと思います。
取材できたのは日本郵船株式会社が保有する自動車専用船「ハーキュリーズリーダー」です。この船は、全長約200m×全幅約32m×高さ約45mという巨大な建造物といってもいい貨物船で、一般的な乗用車を基準にすると、一度に約4千900台ものクルマを運ぶことが可能です。
巨大な船を動かす原動力は2ストロークディーゼルエンジンで、排気量65万ccと巨大なものです。2リッターエンジンの普通乗用車換算で約325台分のクルマに匹敵します。
燃料は、C重油といわれるものが使われます。原油を精製し、ガソリンや軽油などを抽出した最後の残りカスに近いものが、重油(C重油含む)とアスファルトになります。そこから取り出したC重油は粘度が非常に高く、常温では固まってしまうことから、燃料としては加熱して利用しているそうです。