売れている5ナンバー車が風前の灯火? ミニバンもコンパクトカーも3ナンバー化が避けられない理由とは
「5ナンバーのメリット」は?
気になるのが「5ナンバーのメリット」。意味はあるのでしょうか? 結論から書くと「無い」です。現在の自動車税についていえば排気量で決まっています。5ナンバーも3ナンバーも排気量が同じであれば税額は一緒。任意の自動車保険の料金だって同じです。10年くらい前まで5ナンバー車と3ナンバー車で料金を変えていた駐車場などはありましたが、最近はそのような話も聞かれなくなりました。
こういったことを総合的に考えても、「5ナンバー枠」の意味は無いかもしれません。むしろ自動車メーカーの衝突安全部門の方に話を聞くと、「徐々に側面衝突の基準が厳しくなっています。5ナンバー枠の1700mmだとクラッシャブルゾーンの確保が難しく、今後登場する新型車は安全性の観点で車幅を広げる可能性があると思います」といいます。
開発の方たちの話を聞いていると、いずれ5ナンバーサイズのミニバンも無くなる方向になるようです。
こうしたこともあり、数年後に買える5ナンバー車は、軽自動車の派生車種であるスズキ『ジムニー・シエラ』や『ソリオ』。そしてトヨタ『ヴィッツ』やホンダ『フィット』より一回り小さい欧州の軽自動車と言える『Aセグメント』に属す、スズキ『イグニス』やダイハツ『ブーン』、そしてタクシー専用車『JPNタクシー』(タクシーは3ナンバーだと大型車区分)くらいになりそうです。
狭い日本の国土や道路事情を考えれば5ナンバー枠の意義はあると思いますが、車内の居住性の確保や、衝突安全性の確保を考えれば、乗用車の3ナンバー化は仕方ないことかもしれません。
【了】
Writer: 国沢光宏
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。