高速の「ETC専用料金所」急増中! なぜ「現金車お断り」になったのか 26年春には「35か所」がETC専用化 増加の背景と誤進入時の対処法は?
高速道路の風景が、いま大きな転換期を迎えています。かつては有人ブースで通行料金を支払うのが当たり前でしたが、現在では「ETC専用料金所」が都市部を中心に急速に拡大しています。特に2026年春からは、NEXCO中日本管内をはじめとする地方部でも専用化が進む予定です。ETC非搭載車がうっかり進入してしまった際の具体的な対処法や、国がこの施策を急ぐ真の狙いについて、最新情報を交えて解説します。
「ETC専用料金所」導入の動きは地方にも波及! 注意点は?
日本の高速道路において、ETCの利用率は今や9割を大きく超えています。この普及状況を背景に、国土交通省および高速道路各社は、料金所のキャッシュレス化を強力に推進しています。
その動きが決定的なものとなるのが、2026年の春です。これまで都市部の一部に限定されていた「ETC専用料金所」導入の波が、いよいよ地方部の一般インターチェンジにも本格的に押し寄せようとしています。

特に注目すべきは、NEXCO中日本が発表した大規模な専用化計画。同社管内では、2026年春から一挙に35か所の料金所がETC専用へと切り替わります(3月9日より順次運用開始)。
対象となる路線は、中央自動車道、東名高速道路、新東名高速道路といった主要幹線から、新中部横断自動車道や西伊豆道路といった地域を支える路線まで多岐にわたります。
具体的には、中央道の「勝沼IC」や「諏訪南IC」、東名の「東名川崎IC」「菊川IC」「磐田IC」、新東名の「藤枝岡部IC」や「清水いはらIC」などがリストアップされています。これらは観光地への玄関口や住宅街に近い重要拠点であり、これまで以上に広範囲なドライバーに影響が及ぶと考えられます。


この変化は、普段から仕事や通勤で高速道路を利用しているドライバーだけでなく、大型連休や帰省の際にのみハンドルを握るライトユーザーにとっても、大きな衝撃となるでしょう。
これまでは「もしETCカードを忘れても、一般レーンへ行けばいい」という、いわば「逃げ場」がありました。しかし、今後は主要なインターチェンジそのものが「現金お断り」の状態になるため、ETCを搭載していない車両やカード未挿入の車両は、物理的にそのインターチェンジを利用できなくなる事態が現実味を帯びています。
スマートインターチェンジの普及により、ETC専用の乗り口自体は珍しくなくなりましたが、既存の一般インターチェンジが次々と専用化される点は、これまでとは一線を画すフェーズに入ったと言えます。
「まだ自分の地域は大丈夫だろう」と考えている人もいるかもしれませんが、2026年春のリストを見ると、東海・甲信エリアを中心にその網の目は着実に広がっています。
ETCを利用せずに長距離ドライブを計画する際には、目的地のインターチェンジが専用化されていないか、事前に確認することがもはや重要な習慣になろうとしています。
●もし「うっかり進入」してしまったら? 焦りは禁物、冷静な対処法を知る
ETC専用料金所が増える中で、ドライバーが最も不安に感じるのは「ETCがない、あるいはカードを忘れた状態で誤って進入してしまったらどうなるのか」という点でしょう。
特に専用料金所の入り口には、大きく「ETC専用」と掲示されていますが、夜間や悪天候時、あるいは慣れない土地での運転中には、どうしても見落としてしまう可能性があります。
もしETC非搭載車で専用レーンに入ってしまった場合、絶対にやってはいけない行為が二つあります。それは「急ブレーキ」と「バックやUターン」です。
後続車との追突事故を引き起こす可能性があり、極めて危険です。専用料金所には、こうした誤進入車を安全に誘導するための「サポートレーン」が設置されています。路面の表示や案内看板に従い、このサポートレーンへと進んでください。
サポートレーンにはインターホンが設置されており、係員と通話ができるようになっています。係員の指示に従い、まずは誤って進入した旨を伝えてください。
「ETCがないと即座に交通違反になるのではないか」と恐れる声もありますが、故意の不正通行でない限り、その場で取り締まりを受けるようなことはありません。
具体的な支払いフローについては、現場で現金決済ができるわけではなく、後日の対応となります。入り口で誤進入した場合は、係員から案内を受け、出口のサポートレーンで改めて精算の手続きを行うことになります。
その際、氏名や連絡先、車両番号を記録(免許証の撮影等)した上で、係員から「振込用紙」が渡されるか、後日インターネットを通じて支払うための案内がなされます。
いずれにせよ、非ETC車での進入は、通常よりも大幅に時間を要することになり、自分自身だけでなく周囲の交通にも影響を与えてしまいます。
こうした手間や心理的な負担を考えると、もはやETC未搭載で高速道路を利用することのデメリットは、計り知れないほど大きくなっていると言わざるを得ません。
●なぜ今、急速に進めるのか?「2030年全廃」へのロードマップと渋滞緩和の真実
なぜ、国や高速道路各社はこれほどまでにETC専用化を急ぐのでしょうか。その背景には、国土交通省が掲げる明確なロードマップが存在します。
政府は、2030年頃までには全国の高速道路の料金所を、原則としてすべてETC専用化(タッチレス化)するという高い目標を掲げています。この大きな流れの中で、現在の急速な拡大は、目標達成に向けた「計画的な地ならし」であると言えます。
専用化を推し進める最大の理由は、社会構造の変化に伴う「人手不足対策」と「コスト削減」です。料金所に人を配置し続ける維持コストは膨大であり、また少子高齢化によって深夜や休日も含めた交代制の勤務要員を確保することが年々困難になっています。
無人化・キャッシュレス化を進めることで、運営の効率化を図り、その余力を道路の老朽化対策や安全設備の維持に充てることが、将来的な通行料金の適正化にもつながると考えられています。
それ以外にも技術的な側面では、「ETC 2.0」への完全移行による交通DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が大きな鍵を握っています。
ETC 2.0は単なる料金決済手段ではなく、車両の走行経路や速度、急ブレーキの情報といったビッグデータを双方向で通信できるシステムです。このデータを活用することで、渋滞の発生メカニズムをより詳細に分析し、渋滞を未然に防ぐための情報提供や、事故発生時の迅速な対応が可能になります。
さらに将来的な構想として期待されているのが、時間帯や混雑状況に応じて料金を変動させる「ダイナミックプライシング」の導入です。全車がETCを搭載していれば、混雑している時間帯の料金を高く設定し、空いている時間帯を安くすることで、交通量を分散させる高度な管理が可能になります。
これは、道路という限られた社会インフラを最大限に有効活用するための切り札と言えるでしょう。つまり、ETC専用化は、私たちがより快適に、よりスムーズに移動できる未来を作るための「インフラの土台作り」なのです。
●利便性を向上させる、新しい高速道路のカタチ
今回のETC専用化の爆発的な拡大は、単なる支払い方法の変更にとどまらない、日本の道路交通システム全体の変革を意味しています。
かつては、誰でも現金さえ持っていれば自由に乗り降りできた高速道路が、いまや「特定のデジタルデバイスを搭載していること」を前提としたサービスへと変貌を遂げようとしています。
この変化は、多くのドライバーにとって利便性の向上をもたらします。料金所での一時停止が不要になれば、渋滞の大きな要因が一つ取り除かれます。また、多様な割引制度の拡充といったメリットも享受できるでしょう。
一方で、クレジットカードを持てない層や、デジタル化に抵抗がある層をどのようにフォローしていくかという、包摂性の問題も依然として残っています。
しかし、今後のスケジュールに示されているように、流れを止めることはできません。私たちドライバーに求められているのは、この新しいルールを正しく理解し、備えることです。
ETC車載器の導入を迷っている人にとっては、2026年という節目は一つの決定的な判断材料になるでしょう。また、既にETCを利用している人も、2030年に控えている旧規格車載器の利用停止(電波法改正等に伴うもの)といった、別の「期限」にも注意を払う必要があります。
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高速道路のキャッシュレス化は加速しています。最新の運用ルールを正しく把握し、事前の準備を整えることが、スムーズで安全なドライブへの第一歩となるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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