初代から最新5代目まで勢ぞろい ホンダ『フォルツァ』の変遷をたどる

スタイルを一新し、新境地に突入!

 そしてまったく新しいスタイルとなって5代目が今回登場したのです。ターゲットはもはや若者ではなく大人。開発陣がイメージしたのは、都市に勤務し、高速道路を使用した通勤を日常とするビジネスマンです。家族と暮らす郊外の自宅から、オフィスのある街の中心部まで、通勤距離はおよそ30kmを想定。高速道路を降りれば、混雑した市街路をフォルツァに乗って駆け抜けるというイメージです。

5代目「フォルツァ」

 家族や友人と過ごしたり、仕事あるいは趣味に打ち込む時間など、良質な時間を過ごしたいと願い、通勤に時間を費やしたくはない。都会的なスタイリッシュさを漂わせつつ、実用性も兼ね備えるものをチョイスしたい大人たちに向けて、新型『フォルツァ』はつくられたのです。

 開発責任者の山田広司さん(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)は「足まわりはフロント15インチ、リア14インチに大径化し、新設計フレームは従来比約20%の軽量化を図りながら必要な剛性を保っています。車両重量を従来モデルから約5%軽量化。ホイールベースは従来モデルから35mm短縮しました」と教えてくれました。

 また、山田さんは「同排気量クラスのスクーターにおいてトップクラスの走り。2人乗りでも余裕がある」と、動力性能にも自信アリで、「より低速でのドライバビリティーに優れた出力特性に仕上げた」とのことです。ちなみに燃料タンクの容量は11Lで、これは「1週間の通勤に必要十分な航続距離を想定した」と言います。

 電動式の可動スクリーンは140mmの可動範囲で、無段階調整が可能。風を感じて爽快に走るローポジション、高速巡航を快適にするハイポジションを状況や好みに合わせ設定できます。

ラゲッジスペースは、セパレータープレートで内部を仕切ることができます

 フルフェイスヘルメットが2個入るラゲッジスペースは、セパレータープレートで内部を仕切ることもでき、プレートに収納例をイラスト表示することで、ひと目でわかりやすく、さまざまな用途に対応しました。

「俊敏さと高い質感を感じさせるスタイリングとしつつ、長距離移動の際にも安心を感じる頼りがいのあるフロントデザインです」と話すのは、デザイン モデル担当責任者の清水健児さん(二輪R&Dセンター デザイン開発室 第三ブロック所属)です。スタイリングテーマは、“AGILE & CLASSY”とのことで「“走りの良さ“がひと目で分かるフォルム。踏ん張る足を強調した“台形バランス”で、街中でも機敏に扱えるサイズ感を表現しました」と教えてくれました。

新型「フォルツァ」に試乗する筆者(青木タカオ)

 第5世代となってスタイルを一新し、新時代に突入した「フォルツァ」ですが、いつの時代も実用性の高さはもちろん、快適な高速走行性能と都市に似合う洗練されたスタイルが自慢であることが、歴史を振り返ってみてもわかります。

 そして新型「フォルツァ」は、その持ち味をさらに進化させつつ、スポーティさをプラスしています。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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