大雪で実施した「予防的通行止め」なぜ道路を止める? なかには「そこまでやならなくても」意見も… “異例の措置”には「過去の苦い経験」も “通行止めせざるを得ない”理由とは

大雪で実施される「予防的通行止め」について、SNSなどには懐疑的な意見も寄せられています。そもそも「予防的通行止め」とはどのような措置なのでしょうか。

過去の苦い経験から実施される「予防的通行止め」

 2026年は早速正月寒波に見舞われ、日本列島の日本海側を中心に大雪となりました。そうしたなか、各地域の国道事務所や高速道路各社は「予防的通行止め」の措置を実施しています。
 
 まだ走行ができるレベルの降雪で行った規制に対し、「早すぎるのではないか」との声も見られますが、なぜ雪が積もる前から通行止めにする必要があるのでしょうか。

 この措置が導入されたきっかけは、近年の記録的な大雪でした。

 例えば、2014年、2016年、2021年といった年では東京でも大雪警報が発令され、道路や鉄道などの交通網がほぼ全面的に麻痺する事態となりました。

 首都圏の都市部では例年それほど雪が降らないため、スタッドレスタイヤの装着やタイヤチェーンの携行といった備えが不十分なドライバーも少なくありません。

 そうした状態のまま道路の通行を許すと、深刻な問題が起こります。

スタックのイメージ(画像:PhotoAC/イメージです)
スタックのイメージ(画像:PhotoAC/イメージです)

 高速道路の出入口付近やトンネル周辺には急勾配の坂道が多く存在しますが、雪への備えが不十分なクルマはこうした場所でスリップし、登坂できなくなります。下り坂では逆に、タイヤのグリップを失って滑り落ちたり、制御不能に陥って車両が横向きになり本線を塞いでしまうこともあります。

 こうして立ち往生車が発生すると、後続車がしっかりと冬装備を持っていたとしても、強制的に停止せざるを得ません。

 先頭の車両が復旧作業や事故処理をしている間に、停止している後続車にも雪が降り積もっていき、やがてこれらの車両もスタックし、新たな立ち往生車となるのです。

 つまり、「1台の立ち往生車が、複数の立ち往生車を生み出す」という、ねずみ算式の連鎖反応が起こります。まさに最悪のシナリオといえます。

 そして、大雪時の高速道路やバイパスの路肩は、除雪された雪で埋まることもあり、救助に向かう車両が走れるようなスペースが不足することもあります。そのため、一般道のように沿道から緊急車両を投入して救助に向かうこともできません。

 救助を行うには、まず発端となった車両の周囲を埋める立ち往生車を退けてから、ようやく先頭車両の処理に着手するという手順を踏む必要があります。

 このとき、立ち往生によってマフラーが雪で塞がれ、車内で一酸化炭素中毒などによる体調不良者が出ても、周囲も多数の立ち往生車で埋まっているため、救急車両すら現場に到達できません。

 実際に、こうした最悪のシナリオはこれまで何度も発生しています。

 2020年には、関越道の月夜野IC(群馬県)から小出IC(現・魚沼IC、新潟県)にかけての約70kmの区間で、2000台以上が立ち往生する事態となりました。通行再開までに48時間以上を要しています。

 都心近郊でも同様の事例がありました。

 2022年1月、大雪警報が発令される中、首都高横浜北線の新横浜出入口で大規模な立ち往生が発生しました。横浜青葉方面からの上り坂で、冬用タイヤを履いていない車両がスタックしたことが原因です。

 この日は都内の首都高各地で同時多発的に立ち往生が起こりました。台場線のレインボーブリッジや中央環状線でも、夏タイヤのまま坂を登れないクルマによって数十台以上が動けなくなり、中央環状線では解消まで14時間を要しました。

 こうした「最悪のシナリオ」を重く受け止めた国土交通省は、「人命を最優先に、幹線道路上の大規模な車両滞留を徹底的に回避する」という方針を打ち出し、「予防的通行止め」を実施する体制を整えました。

 この措置では、事故や立ち往生による「部分的な通行止め」だけでなく、規制区間手前で発生する出口渋滞や、そこから派生する別の立ち往生まで想定しています。

 そのため、降雪が少ない地域や、まだ雪が降っていない段階でも、「広範囲をまとめて躊躇なく通行止めにする」というのが予防的通行止めの考え方です。

 一度通行止めにすれば、除雪車を集中的に投入でき、積もった雪を一気に除去することも可能になります。

 結果的に、これが短期間での規制解除につながり、立ち往生車による道路ネットワーク全体の麻痺を防ぐことができるのです。

 ただし、予防的通行止めの考えはまだ理解にかけている現状もあり、ことしの大雪により、北陸や近畿地方などで実施された予防的通行止めに対しては、SNSなどで「やりすぎ」「そこまで規制しなくても…」といった声も見られます。

 今後は予防的通行止めに対する理解を深めることが課題といえます。

※ ※ ※

 前提として、冬季にクルマを運転する際はスタッドレスタイヤの装着やタイヤチェーンの携行が必要です。国土交通省も繰り返し呼びかけています。

「予防的通行止め」が発動される状況は、普段雪が降らない地域でも積雪する恐れがあり、大雪警報が出されるような、「通常ではありえない大雪」が降るケースがほとんどです。

 こうした状況は、「不要不急の外出は控える」よう呼びかけられる災害レベルに相当します。よほど差し迫った急用でない限り、クルマでの移動は控えるべきです。

 それでもやむを得ず外出しなければならない場合は、スタッドレスタイヤの装着に加え、チェーンやスコップなどを携行し、いつどこでスタックしてもおかしくないという認識のもと、通常以上に慎重な運転が求められます。

 また万が一立ち往生したときに備え、燃料を常に満タンにしておくことや、防寒具の用意、数日分の食料や飲料の携行なども必要です。

 なお、予防的通行止めの実施状況は、NEXCOや各高速道路会社の公式サイト・SNS、道路交通情報センターのサイトで確認できます。

 雪の予報が出た際には、こまめにチェックすることをお勧めします。

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Writer: くるまのニュース編集部

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