日本車が生き残るために… 自工会・佐藤会長が「新7つの課題」で示した覚悟と実行プランとは

日本自動車工業会(自工会)は佐藤恒治会長のもとでの新体制を本格始動させた。2026年1月22日の説明会で提示されたのは、従来の課題を深化させた「新7つの課題」。議論のフェーズを超え、「社会実装」と「実行」に重きを置いた新たなロードマップを解説します。

2026年、日本自動車工業会が掲げる新たな方針とは

 2026年1月22日、日本自動車工業会(自工会)は理事会後のメディア説明会を開催し、佐藤恒治会長のもとでの新体制を本格始動させました。

 そこで提示されたのは、従来の課題を深化させた「新7つの課題」。

 議論のフェーズを超え、「社会実装」と「実行」に重きを置いた新たなロードマップの全容を解説していきます。

自工会の佐藤恒治新会長(トヨタ)
自工会の佐藤恒治新会長(トヨタ)

◆「新7つの課題」の全容と狙い

 今回、佐藤会長が提示した「新7つの課題」は、単なる項目の羅列ではなく、ゴール(社会実装)を見据えた具体的なアクションプランのドラフトとなっています。

 その内容は以下の通りです。


 1.重要資源・部品の安全保障:資源不足による生産停止を防ぐBCP(事業継続計画)の仕組み構築。

 2.マルチパスウェイの社会実装:50年カーボンニュートラル(CN)達成に向けたBEV、CN燃料車、FCEV(燃料電池車)の普及目処付け。

 3.CE(サーキュラーエコノミー)の仕組みづくり:電池や樹脂などの資源を循環させ使い倒す仕組みの構築。

 4.人材基盤の強化:開発・生産・販売・サービスの安定化に向けた、継続的な人材確保と育成。

 5.自動運転を前提とした交通システム確立:車両・人・インフラが三位一体となった安全な交通社会の構築。

  6.自動車関連税制抜本改革:簡素化と負担軽減により、ユーザーが納得できる税体系への変革。

 7.サプライチェーン全体での競争力向上:電動化や知能化に対応し、現場の余力を拡大するためのサプライチェーン再構築。

設楽元文副会長(ヤマハ発動機)

 佐藤会長は会の冒頭で、「片山前会長が築いた『良い意味での連帯感』という基盤を活かしながら、さらに具体を掘り進めていく」と述べ、委員会ベースでの議論から、テーマごとに柔軟に決議・実行していくスタイルへと運営方法を変更する意向を示しました。

 会の中で、特に強調されたのが「国際連携」と「サプライチェーンの強化」です。

 欧州や米国での規制や経済動向が刻一刻と変化する中、日本の自動車産業が孤立せずに価値を発揮するためには、世界との連携が不可欠です。

 佐藤会長は「日本の自動車工業会も、世界の自動車工業会とのつながりをしっかり持って、自分たちの立ち位置を明確にしていく」と語りました。

 また、設楽元文副会長(ヤマハ発動機)は「従来の協調領域に加え、新しいサプライチェーンのあり方を模索しなければ日本の産業自体が生き残れない」と、危機感をにじませました。

 これを受け、佐藤会長もサプライチェーンについて「国際競争力」という視点を提示しました。

「日本のサプライチェーンは幅広く深いが、それが本当に100年後の国際競争力につながっているか」という問い直しが必要だとの認識です。

 単なる部品供給網ではなく、物流を含めたデータ基盤の整備や、OEM(自動車メーカー)間での協調領域の拡大が、第7の課題として挙げられています。

三部敏宏副会長(ホンダ)

◆災害リスクとBCPへの対応、そしてサプライチェーンのあり方

 課題のひとつに挙げられた「重要資源・部品の安全保障」に関連し、佐藤会長は、能登半島地震などの自然災害に触れつつ、「足元の課題として、重要資源の安定調達は重要」としつつ、長期的な視点でのBCP(事業継続計画)や備蓄の議論が必要であると述べました。

 これまでの効率性を重視したサプライチェーンから、リスク対応力を持った強靭な構造への転換が求められています。

 さらに佐藤会長は「いつ何が起きてもおかしくない状況下で、あらかじめリスクを想定し、どうリカバーするかを考えておくこと以上にできることはない」と述べ、有事の際のデータ連携や物流のあり方について、平時から業界全体で準備を進める姿勢を鮮明にしました。

 またサプライチェーン全体での競争力向上について、ホンダの三部敏宏副会長は「戦後81年、国際協調の中で我々が築いてきた自動車ビジネスのモデルが、もう使えなくなってきていると感じています。サプライチェーンも、これまでのグローバル一辺倒ではなく、エリアを分けたような新たな形になるかもしれません。過去の我々のやり方のままでは通用しない時代に差し掛かりました」と述べています。

イヴァン・エスピノーサ副会長(日産)

◆「マルチパスウェイ」と「税制」の行方

「マルチパスウェイの社会実装」については、単に電気自動車(BEV)だけを推進するのではなく、燃料電池車(FCEV)やカーボンニュートラル燃料を含めた多様な選択肢を、いかに社会に定着させるかが焦点となります。

 また「投資予見性を高める実装プロジェクトの立ち上げ」も掲げられており、各動力源のCO2削減効果を統一指標で評価する「WtW(ウェル・トゥ・ホイール:燃料採掘から走行まで)」の視点が重視されています。

 また、長年の課題である「税制改革」についても、第6の課題として引き続き掲げられました。

 佐藤会長は税制を「需要の喚起にとって大きなトリガー」と位置づけています。

 今回の税制大綱で示された方向性を踏まえ、重量税の扱いや、BEV・FCEV・軽自動車など異なる領域を公平に扱う仕組みの具体化を目指すとしています。

鈴木俊宏副会長(スズキ)

議論を活性化し、佐藤新体制でより強固なものへ

 会の中でイヴァン・エスピノーサ副会長(日産)が「世界はかつてないスピードで変わっている。我々産業界も機敏に、柔軟に対応しなければならない」と語ったように、2026年の自工会は「議論」から「実装」へと大きく舵を切りました。

 鈴木俊宏副会長(スズキ)も「頻度高く議論し、結論を出していく」と述べ、形式的な会議体からの脱却を示唆しています。

 多様なモビリティを強みとする日本の自動車産業を率いる佐藤新体制の自工会が、世界の中でどのような「勝ち筋」を描くのか。

「新7つの課題」の進捗と、具体的な社会実装のスピードが問われる1年となります。

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Writer: くるまのニュース編集部

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