三菱ふそうトラック・バス（川崎市）は、東京ビッグサイト（東京都江東区）で10月30日～11月9日（一般公開は10月31日から）に開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2025（ジャパンモビリティショー）」（以下：JMS 2025）に出展します。

　注目すべきは水素を燃焼させるエンジンを搭載した大型トラック「H2IC」と、液体水素を利用する燃料電池大型トラック「H2FC」の2種類の水素駆動コンセプトモデルを世界初公開する点です。

　同ブースは「FUTURE TOGETHER：新しい時代を駆け抜けろ, ふそうと共に」をテーマに掲げ、岩谷産業と共同研究を進める液体水素充填（じゅうてん）技術に関する展示や、パネルディスカッションも実施。カーボンニュートラル輸送の未来を提案するとしています。

　水素を燃焼させるエンジンを搭載した大型トラック「H2IC」は、圧縮水素ガスを燃料としながらも、ディーゼルトラックと共通の技術や部品を活用することで、水素車両へのスムーズな移行を可能にするものです。

　三菱ふそうは、特に高い出力が必要となる建設用車両などの用途に適していると言います。

　一方の燃料電池大型トラック「H2FC」は、燃料電池システムが水素を電力に変換し、電気モーターを駆動させて走行する燃料電池トラックです。

　同トラックは圧縮水素ガスに比べてより密度が高い液体水素を搭載しています。これにより、航続距離の拡大やより短い充填時間を可能にするほか、ディーゼル車と同等サイズのリアボディを確保しているそうです。

　液体水素の充填には、ダイムラートラックとリンデ・エンジニアリングが共同開発したサブクール液体水素（sLH2）充填技術を採用しています。これによって前述の航続距離の延伸、短時間での液体水素充填を実現するとともに、インフラ設備の簡素化によるコスト削減にも貢献するとしています。

　三菱ふそうは国内で唯一液体水素を供給する岩谷産業と連携して、sLH2充填技術の日本国内での確立とISO規格化を目指して共同研究を進めているとのことです。

　同社は水素が持つ高い密度という特性により、長い航続距離や短い充填時間が可能になるため、重量物運搬や長距離輸送を伴う商用車のカーボンニュートラル化を実現する上で、水素は有効な手段であると唱えています。

　また、同ブースでは次世代型物流ソリューションのコンセプト「COBODI（Connected Load Body：コボディ）」が展示されます。

「コボディ」は、革新的なスマートボディとデジタルソリューションを融合した新しい発想で、ドライバーの負担軽減や荷降ろし作業の効率化を目的としています。

　さらに、配送効率や車両管理の生産性を高めることで、物流全体の最適化を目指す次世代プラットフォームとしての可能性を示すとしています。

　JMS 2025のブースでは、その「コボディ」を搭載した特別仕様の「eCanter（イーキャンター）」コンセプトモデルが登場。ベース車両の「eCanter」は、2017年に日本初の量産型電気小型トラックとして発売され、2023年には第三世代へと進化したモデルです。

　今回の特別仕様車は、ドライバー主体で設計されたスマートな荷台構造が特徴で、AIを活用した配送計画システム「ワイズ・システムズ」と連携し、最適な配送ルートを自動で計画することで、配送業務全体の効率化を実現するとしています。

　また、会場では「COBODI」の仕組みを再現するデモンストレーションを実施し、来場者にその実用性と物流現場における具体的な効果を紹介。人手不足や効率化といった物流業界の課題に対する新たなソリューションとして、「コボディ」が示す未来像を体感できる展示となります。

　JMS2025の三菱ふそうブースでは、ここまでに紹介した「H2IC」や「H2FC」、「COBODI」に加え、さまざまな展示が行われます。ブースマップとともに各エリアを見ていきましょう。

「コンセプトビークルエリア」
　JMS 2025で世界初公開される「H2IC」と、「H2FC」が展示されます。

「eCanter＆ソリューションエリア」
　物流の効率化やEVトラックへの円滑な移行を支えるデジタルソリューションが展示されます。各ソリューションが物流配送をどのように支えているかを紹介し、来場者はその仕組みを体験的に理解できます。「COBODI」もこのエリアで披露されます。

「FUSOサービス&ソリューションエリア」
　物流の効率化やEVトラックへのスムーズな移行へのサポートに向けた各種デジタルソリューションが展示されます。これらのソリューションが物流配送をどのように支えているかについて、展示を通じて学ぶことができます。

「Future Together コーナー」
　車両やサービスを楽しく分かりやすく紹介するインタラクティブな展示を通じ、物流課題への多様なソリューションが紹介されます。

「FUSO未来モビリティステージ」
　ステージの内容は後日公開予定とのことです。

「FUSO AI『Sali』コーナー」
　三菱ふそうの取り組みや、カーボンニュートラルの実現を目指す次世代車両について、AIチャットボットと対話しながら学べる体験型コンテンツが展開されます。来場者はその場で質問しながら、未来のモビリティについて理解を深められます。

「FUSO テックラボ」
　子ども向けの「お絵かきエリア」が設けられます。自由な発想で未来のトラックを描いたり色を塗ったりすることで、創造力を育む場とします。

　描かれたトラックはスキャンされ、ブースに設置された巨大LEDスクリーンを走ります。

　また、この「FUSO テックラボ」内でリサイクル素材を活用したキーホルダー制作のワークショップが開催される予定です。来場者とともに作業することで、三菱ふそうが目指すサステナブルな未来へのビジョンを共有・体験できます。

　さらには、会場内の各ブースを巡ってスタンプを集めると、三菱ふそうオリジナルグッズがプレゼントされるとのことです。

　三菱ふそうでグローバル広報・マーケティング部のマーケティング アクティベーション＆エンゲージメントマネージャーを務めるアグスティン・トリスタン氏は、来場者に向けてこう話します。

「私たちは、お客さまと共に次の時代の物流を形づくっていくために、先進技術を活用した新しいソリューションを初公開します。ブースでは、実車展示やインタラクティブなパネルを通じて、ふそうが提案する“効率的でサステナブルな輸送のかたち”をお伝えしていきます。みなさまのご参加を心よりお待ちしております」

　三菱ふそうブースは、東京ビッグサイト東展示棟1階（東6ホール）、ブース番号EC02で展開されます。