トヨタ「ランクル300」ダカールラリー市販車部門デビューウィン&チーム10連覇達成! 世界一過酷なラリーに挑んだタイヤとは【PR】
「ダカールラリー2023」にて「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー」が市販車部門優勝、チーム10連覇を達成しました。自身も部門2位で完走したドライバーの三浦選手はじめ、偉業を支え、成し遂げた人たちに話を聞きました。
戦闘力が大幅に向上したトヨタ「ランドクルーザー300」で初参戦
トヨタ「ランドクルーザー300(ランクル300)」を駆るトヨタ車体のラリーチーム「チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデー」(以下TLC)が、2022年12月31日から2023年1月15日までサウジアラビアにて開催された「ダカールラリー2023」に参戦、250号車(ロナルド・バソ選手/ジャン・ミッシェル・ポラト選手組)が市販車部門1位、246号車(三浦 昂〈あきら〉選手/ローラン・リシトロイシター選手組)が市販車部門2位に輝きました。
ランクル300のダカールラリーデビューを市販車部門のワン・ツーフィニッシュで飾り、また同部門史上初のチーム10連覇を達成したことになります。
「ダカールラリー」とは、 “世界一過酷”といわれるモータースポーツです。1978年12月、フランスのオートバイレーサーであるティエリー・サビーヌ氏の発案により、「パリ・ダカールラリー」として始まりました。
TLCが参加する「T2市販車部門」は、改造範囲が非常に限られており、出場車両のほとんどのパーツは市販実績のあるものに限るという、極めて厳しいレギュレーションが定められています。
TLCのドライバーで、トヨタ車体社員の三浦 昂選手、そしてチームを率いる角谷裕司監督は、この偉業を以下のように振り返ります。
「今回のダカールラリーはコースが難しく、かつステージごとに路面状況も大きく異なっていました。また前半は想定以上の雨が降り、ビバーク(キャンプ地)が水没してコースが変更になるというアクシデントもありました。
砂が締まっていて走りやすいところもある一方、わだちが掘り返され、重い砂が露出して引っかかり、苦しめられたところもありました。後半は広大な砂丘『エンプティクォーター』の砂が驚くほど柔らかく、過去使ったことがないくらいの空気圧まで落とすこともありました。緊張感が抜けなかった2週間でした」(三浦選手)
「2022年12月31日のプロローグを終え、本格的な競技がはじまった1月1日の第1ステージで三浦選手の246号車が砂丘で転倒し、大きく遅れるという波乱のスタートとなりました。ランクル300のデビュー戦で不安もあるなか、『初日からこれか……』というのが偽らざる印象でした。
3日目以降は天候が悪化し、明け方と夜には摂氏0度近くまで冷え込む真冬の寒さのなかでメカニックが作業することになるなど、9年間、監督をやってきて一番の修羅場だったと思います。ただ、チーム一丸となって戦ったことで、10連覇、そしてランクル300のデビューウィンを成し遂げることができました」(角谷監督)
角谷監督が話すように、246号車の三浦選手は初日、大きなトラブルに遭遇します。
「すり鉢のようになった砂丘の地形に落ち込まないよう、斜面を横切るように走っていたんです。すると下側のタイヤがずぶずぶっと砂に埋まり、スタックしたのかなと思ったら、そのままゆっくりと横倒しになってしまいました。
脳裏をよぎったのは、去年からの1年間、ランクル300の開発を考えたらこの3年間、ずっとやってきたことがこれで終わってしまうのか、と。自力での脱出は不可能で、250号車の助けを借りても引き起こすことができなかったため、後続のトラックを待ち、ビバークへは未明の到着になってしまいました。ただそんな状況でもチームメイトはいつもどおりに接してくれて、メカニックも『スタートまであと2時間しかないけど、準備しよう』と頑張ってくれました。そのおかげで僕も前を見て進もうと気持ちを切り替えられました」(三浦選手)
ではこの2週間、ランクル300の性能を三浦選手はどう感じとったのでしょうか。
「(先代の)ランクル200と比較すると、まず砂丘の走破性は異次元に上がったと思います。前後4ステージのかなり柔らかい砂を走ることになったエンプティクォーターでは、さすがにノースタックとはいきませんでしたが、『過去、これほどうまく走れたことがあっただろうか』と感じるくらい、ほとんど埋まることはありませんでした。
また砂丘を越えるときも、ランクル200だったらちょっと厳しいかなと思えるラインもランクル300は上がってくれるし、そのライントレースでのコントロール性も自在でした。ランクル200に比べての大幅な軽量化が、この走破性につながったのは間違いありません。
また、これまでランクル200でのダカールラリーでは1大会あたり4、5回あったバンパー交換が、今回は最終ステージでの“化粧直し”を除き、1回もなかったんです。デザインの改良は見た目の格好良さだけでなく、機能に裏付けられたものなんだと実感しました。」(三浦選手)