今なぜPHEVなのか? BEV/HEV/FCVと選択肢がある中で三菱がプラグインハイブリッドに拘る理由とは【PR】
急速なBEV(電気自動車)シフトが起こっている昨今ですが、三菱自動車はなぜPHEVに拘るのでしょうか?その理由を確かめるため、EV・パワートレイン技術開発部/EV・パワートレイン先行開発部担当部長の半田和功さんを直撃しました。
幅広いユーザー層から好評を得ている三菱のPHEV技術
三菱の アウトランダーPHEVの販売が好調です。2021年10月28日の先行受注開始から約3ケ月で累計販売台数1万台を越えました。
売れる理由は、威風堂々としたエクステリアや、先代モデルと比べて圧倒的に上質になったインテリアなど様々ありますが、なんといっても日本ではPHEV(プラグインハイブリッド)専用車という点ではないでしょうか。
世の中は今、欧州メーカーを中心に急速なBEV(電気自動車)シフトが起こっています。そうした中、三菱自動車は今なぜPHEVに拘るのでしょうか?海外市場では、ガソリン仕様の設定もある新型アウトランダーですが、日本ではなぜPHEV専用車なのでしょうか?
その理由をしっかりと確かめるため、三菱自動車の研究開発の中枢である、技術センター・岡崎製作所(愛知県岡崎市)を訪れ、電動化技術開発の最前線にいる、EV・パワートレイン技術開発部/EV・パワートレイン先行開発部担当部長の半田和功さんを直撃しました。
最初に、アウトランダーPHEVの販売好調に対する受けとめを聞きました。
すると「素直にとても嬉しい。女性を含めた幅広いお客様からは、走りやすい、曲がりやすい、乗りやすい、またはクルマが小さく感じるといった声を聞きます」と実感を話してくれました。
この”クルマが小さく感じる”という表現こそ、三菱自動車がPHEVに拘る理由を上手く表現しているように思えます。 詳しくはこの後じっくりとご紹介するとして、まずは半田さんにご用意して頂いた資料から見ていきましょう。
カーボンニュートラルに対する三菱自動車の姿勢とは?
タイトルは、『三菱自動車の脱炭素化への取組み ~今、なぜPHEVなのか?~』です。まずは、最近大きな話題となっている、カーボンニュートラルを踏まえた社会動向についてからご紹介します。
カーボンニュートラルとは、地球上での二酸化炭素(CO2)の「出」と「入り」を相殺するという考え方です。「出」とは、人間が生活する中で発生するCO2で、最も多いのが全体の41%を占める発電と発熱、二番目が運輸で24%、そのうち自動車だけをみると18%になります。
また、「入り」は森林など自然の中で吸収されることを想定しています。現状では、CO2の「出」と「入り」のバランスがあまりよくありません。COP26(第26回機構変動枠組み条約締結国会議)によりますと、地球温暖化は第二次世界大戦後に急激に進んでおり、今後もさらに上昇する可能性が高いという見解を示しています。温室効果ガスの主な原因であるCO2削減が不可避になってきました。
一方、自動車の販売状況では、新車代替えが日本や欧米のみならず、経済新興国や経済後進国でも上昇傾向にあります。国際自動車工業連合会によりますと、グローバルでの自動車総数は2019年は9042万台で、コロナ禍となり製造と販売に大きな打撃を受けた2020年でも7797万台という大きな数字です。
こうした中、国や地域によって、カーボンニュートラルに向けた電動化推進の政策を打ち出しはじめていますが、特に目立つのが、欧州の動きです。
欧州委員会がグリーンニューディール政策として、2035年には欧州域内で事実上、新車はBEVまたはFCV(燃料電池車)のみという規制を掲げています。そのため、ドイツを始めとする欧州メーカーの中には、ハイブリッド車やPHEVの量産開発を休止するケースも出てきました。
一方、グローバルで最も自動車販売台数が多い中国、二番目のアメリカ、そして三番目の日本も電動化政策を進めていますが、ここでの電動化はハイブリッド車とPHEVを含めた考え方を示しているのが、欧州との大きな違いです。
LCAを考慮して、日本ではPHEV専用車になったアウトランダー
次に、『電動化によるカーボンニュートラルの課題』についてです。
電動化を進める上で、多くのメーカーがハイブリッド、PHEV、BEV、そしてFCVという段階で進化することが想定してきました。それぞれを、CO2排出量、航続距離、給油時間(充電時間)、そしてコストで比較してみますと、コストはまだ高いもののPHEVに優位性があることが分かります。
また、CO2排出量について視野を広げてみますと、走行時のみではBEVは実質ゼロですが、電気やバッテリーを製造する過程を踏まえて、製造から廃棄までの”クルマの一生”ではPHEVがBEVより優位という考え方もあります。
”クルマの一生”を踏まえた考え方は、LCA(ライフサイクルアセスメント)という言葉で表現されますが、LCAは国や地域の社会状況によって大きく異なります。
例えば、再生可能エネルギーの導入が多い欧州、石炭火力の依存度が高い中国、そして様々なエネルギーをミックスを想定している日本など、電力発電時のCO2排出量は国や地域によって様々です。
そのため、アウトランダーPHEVについても、LCAでのCO2削減を考慮し、導入する国や地域を選定しており、日本ではPHEV専用車という戦略を取っています。
三菱自動車は『2030年までに全車種に電動化を設定』していますが、アウトランダーのような大型車ではPHEVを主体として、地域によってはエクスパンダ―のようにHEVも導入しています。
また、市街地走行が主体で航続距離が少ない場合はBEVも考慮し、それが日産と共同開発し2022年中に発売予定の軽EVというわけです。