横浜ゴムの施設は氷の温度も変えられる!スタッドレスタイヤ開発のために建設した屋内氷盤試験場に潜入【PR】
2021年秋に登場した、氷上性能だけじゃなく雪上性能も向上したアイスガード7。その開発がおこなわれたのは、横浜ゴムが新たに建設した巨大施設です。この設備ではスタッドレスタイヤの性能を徹底的にテストできると言いますが、一体どのような施設なのでしょうか。
氷上だけじゃなく雪上性能も向上したアイスガード7!その舞台裏とは
この秋、新世代のスタッドレスタイヤ「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」を発売した横浜ゴム。アイスガード7は多くのユーザーが最も注目している氷上制動性能が従来比14%、雪上制動性能でも3%向上させたほか、燃費性能、ウエット/ドライ性能、静粛性や耐摩耗性能と全方位での性能を併せ持ち、日本の冬の様々な走行シーンで頼もしく足元を支えてくれそうです。
そんな最新スタッドレスタイヤ開発の裏側、ちょっと気になりませんか?
横浜ゴムは日本のタイヤメーカーとしては初めて(※)となる、新たなテスト設備を2020年から導入しており、新世代スタッドレスタイヤであるアイスガード7の開発に大きく貢献させているのです。
※2021年12月末現在
“氷上で確実に止まる性能”をタイヤに与えるため屋内氷盤試験場を建設した
横浜ゴムの冬用タイヤの開発は、北海道旭川市内にある「Tire Test Center of Hokkaido=TTCH」とスウェーデンのテストコースで行われているのだとか。
国内でのテストについてはすでに1989年から旭川で始まっていますが、2015年には総敷地面積91万平方メートル、東京ドーム19個分の広さを持つ現在の場所にお引っ越ししています。
格段に広くなった新施設の最大の特徴は、速度100km/hを超えるスピードで高速走行試験ができる1kmの圧雪路を持つ全長2.3kmの周回路。日本では法定速度外ではあるものの、近年は海外での冬タイヤの速度域も上がってきていることから、新しいテストコースでは世界の冬道環境のことも視野に入れ、より高速な試験を可能としています。
さらに氷盤路や雪上/氷上の登坂路、円盤のような雪上/氷上の旋回路、そして勾配があることも特徴の全長1.1kmの圧雪ハンドリング路が降雪のシーズンになるたびに毎冬整備されるのです。
ただし、上記のような屋外テストコースは天候に左右される点は否めません。とりわけ多くのユーザーが最も注目する“氷上で止まる性能”をタイヤに与えるためには、制動性能を安定したコンディションでテストするための環境づくりをする必要があります。
この部分についてはどのタイヤメーカーも苦労しているようですが、横浜ゴムはこの問題を解決するために、2018年に屋内氷盤試験場を新たに建設したというわけ。ココからが今回の本題です。
正確なデータを取るためには屋内の試験場が必要と判断した
2018年に建設した屋内氷盤試験場について、横浜ゴムの取締役常務執行役員である野呂さんにお話を聞くことができました。
「氷はすごくデリケートです。屋外は陽が照ります、風が吹きます。陽が照れば氷の上には水が浮き(滑りやすくなる)、風が吹けば氷路の温度は下がって凍ります。自然を相手に行われるテストは大変です。いつもデータ取りには苦労しています。
それでも氷の温度によって変わる制動距離を自分の都合のよいように解釈するわけにはいかないのです。開発者たちは計測者の横で立ち会い、温度だけでなく天候の様子や変化までも記録を取る。
制動距離が長かったときは、“陽が差してきて水がのっていた”とか。短かったときは“曇ってきて風が吹いたので表面が乾いた”とか、これを何度も何度も試して記録しながらデータ整理をしていくんです。
そこで過去にも屋根を付けようか、外気を取り入れて温度調節できるビニールハウスみたいなものを作ろうかなどトライしたこともあったんですが、なかなか建物をつくるところまで踏み切れず、ちゃんと正確なデータが取れるようにしないといつまでたってもこの開発スピードは上がらないと思ったんです」と野呂さんは言います。
この試験場はまるで巨大な体育館のようで、開発者の長年の想いが形になって建設されたものです。大型トラックやバスのテストも行うことができます。全長119m、幅が24m、天井も高く、中に入った瞬間その広さに驚かされます。
しかも大雪にも耐えられる“柱を持たない”建造物であることも特徴であると知り、確かに凄いし美しいとすら思えます。