横浜ゴムの施設は氷の温度も変えられる!スタッドレスタイヤ開発のために建設した屋内氷盤試験場に潜入【PR】
徹底したデータ取得のために…氷の温度も調整可能!
でもそれだけではないのが今回のお話。「アイススケートリンクに採用されている冷媒装置を取り付けよう」とさらに設備の充実に取り組んだのですが、注目ポイントは“氷の温度管理”です。
スタッドレスタイヤに詳しい方なら“温度”へのこだわりの大切さを想像できるかもしれません。
2018年に完成した屋内氷盤試験場は安定したテストデータを天候に左右されずにより多く取得することに繋がりました。そしてさらに昨年(2020年)の11月、この施設は進化しています。アイススケートリンクのように氷の温度をコントロールしてテストができる冷媒装置を導入したのです。
「温度によって制動距離が変わることはわかっていたので、温度にこだわった制動距離のデータの変遷をしっかりと取って、“どの温度域でも勝てる(=確かな性能を発揮できる)”タイヤを開発するためのデータ取得と、それに基づいたタイヤ開発をしたかったんです。
屋内で氷の温度調整も可能になればテストのスタート時期を早めてこれまで以上に時間に余裕を持つこともできますからね。」と野呂さんは言います。
ちなみに屋内氷盤試験場では乗用車なら3台を並行して走らせることのできるレーンのうち1レーンに-10度~0度までコントロールできる冷媒装置を導入しています。
ですがこれは決して簡単なことではなかったようで、100mを超える氷盤路に1レーンとは言え確実に温度管理された氷の路面を作ることができるか、というところから計画は始まったそうです。
氷の温度で止まる距離は変わる!実際に体験してわかる制動距離の違い
温度が異なる左右の氷盤路は、視覚的にも氷の色やツヤが違い、より温度の低い氷は白くツヤが少ないことがわかります。試験場に訪れたときは左側のレーンが-8度、右側のレーンが0度付近。そんな異なる氷の上で最新のアイスガード7と従来製品のブレーキテストを体験させていただきました。
低温の氷盤のほうが制動距離が短く止まれることがわかっただけでなく、氷の上に水が浮きやすい0度付近の氷盤と比較すると、制動距離とフィーリングの性能向上も明らかに進化していることがわかりました。
新商品ですから当然なのかもしれませんが、この施設を使ってアイスガード7の仕様(ゴムの配合やパターンなど)決定に向けたテストが行われたというお話に、改めて納得しました。さらに筆者の職業上の感想を言わせていただくと、このように乗り比べながらテストができるって本当にわかりやすくて素晴らしいと思います。
「低温の氷上路面で止まるための制動性能はもちろん大事ですが、それよりも氷の表面に水が浮きやすい0度付近でいかに制動性能を発揮できるかが日本の冬道では重要なのです。そしてその条件を天候に左右されない確かなデータに基づき構築していくことが今後の財産にもなり得ます。もっと言えば、もともと大事にしてきた感性評価とともにデータに基づくタイヤ開発がより可能になります」と野呂さん。
横浜ゴムのスタッドレスタイヤは、冷媒装置を持つ屋内氷盤試験場によってますます確かな性能を持つタイヤへと進化することは間違いないでしょう。横浜ゴムのスタッドレスタイヤはますます止まるようになり、一方で性能の向上は止まらない!? こんな風に、開発現場の裏側をちょっと知ることでタイヤへの信頼感も上がるのではないかしら。