前哨戦モロッコラリーで好印象! 市販車ランクルとともにダカールを戦うトーヨータイヤのポテンシャルとは【PR】
過酷な路面環境だからこそタイヤへの期待は大きい
手放しでオープンカントリーM/T-Rの性能を評価する三浦選手ですが、優れた性能はダカールラリーにおいてさらなるメリットを生むといいます。
「砂を走る時はタイヤの接地面積を稼ぐために、タイヤの空気を抜いて空気圧を下げるんですね。ただ、このタイヤは砂に強いので、今までよりも空気圧を低くしなくて済むんです」。
これだけ聞くと、“なるほど”で終わってしまいますが、ダカールラリーの戦略上、従来とは戦い方が大きく変わるのではないかというのです。
というのも、従来、グラベルなどは規定の空気圧で走行し、砂になったら空気圧を落とす、そして砂丘を越えた後にまた空気を入れるという作業が必要でした。しかし、空気圧を落とさなくても十分なトラクションを発揮できるため、スタートからゴールまで一定の空気圧で走れる可能性があるのです。つまり、2回の空気圧調整のために止まらなければならなかったという大幅なタイムロスを無くすことにつながります。
「今回のラリーでは、路面状況はさまざまでしたが、ステージによっては空気圧の変更なしでいけるという手応えも得ました。これによりリズム良く走れて、改造クラスのマシンが走るオープンクラスでも上位に入れたのではないかなと思います」。
TLCがトーヨータイヤに要望した性能のひとつに、「パンクの減少」がありました。同チームのオフィシャルHPを見ると、パンクによるタイヤ交換のシーンもありましたが、そのあたりはどうだったのでしょうか。
「パンクの回数だけでいえば、実は従来よりも少し減ったかなというくらいでした。ただ、1回は僕のミスで起こったものですが、その他のパンクはどこまでやったらパンクするかというテストで、敢えて起こしたものなんですね。実戦ではわざとパンクをさせるような走行はしませんから、ダカールではかなりパンクを減らすことができるのではないでしょうか」。
さらに、パンク以上に評価できる性能がオープンカントリーM/T-Rにはあると、三浦選手は力を込めます。
「外傷性能だけでいえば、従来の他社タイヤよりも少し上というレベルかもしれません。ただし、オープンカントリーM/T-Rは空気圧を落としても、コントロール性が良いので、かなりの確率で石を避けられるんです」。
タイヤは空気圧を低くすれば、全体的に剛性も落ちていくので、当然ながら走行中にヨレるようになってしまいます。このヨレが、ドライバーの意思と車体の動きに齟齬を生み、段々とコントロールが失われていくことになります。
しかしオープンカントリーM/T-Rは剛性がしっかりしていて変動が少ないため、連続して石を避けるような動きの後でも、自分の思い通りのドライビングができるんだとか。
加えて、チームの要望のひとつであったリム落ちに対する対策も万全だったと言います。
「1号車、2号車とも今大会中に一度もリム落ちが無かったんですよ。僕なんてちょっとイジワルして、空気圧を100kPaにして、ハンドルを無理にこねくり回したりしてリム落ちする限界レベルを探すテストをしたのですが、1回もリム落ちすることはなかったです(笑)。これは相当にすごいなと思いましたね」。
とにかく砂路面での性能のレベルが高く、フィジカル的にもメンタル的にもドライバーをサポートしてくれるタイヤだと、三浦選手も大きな手応えを感じているようです。
2022年はランクル200として最後のダカールラリー出場になるわけですが、マシンも成熟し、信頼性は十分なレベルに達しているようです。さらにタイヤの手応えも十分ということで、本番に向けてチームは順調に滑り出しているように見えます。
一方で、TLCの角谷裕司監督は、その立場から違った想いがあるといいます。
「今回は1号車、2号車とも一定の成績も残せましたし、1号車は初日から満面の笑みで帰ってきましたので、“いい手応えがあったんだな”と感じました。2号車も2日目まではリズムをつかむのに苦労があったようでしたが、3日目からタイヤとクルマを理解し、走り方をつかんで好調になりました。
また大小のトラブルもありつつ、それを克服してから本番に向かうことができるので、そういう意味ではモロッコラリー参戦は意義があったのではないかなと思いますね。何もなく順調というのが、一番不安ですから」。
トーヨータイヤとのコラボレーションについても、手応えを感じたようです。
「今回、チームにトーヨータイヤさんのスタッフに参加していただきましたが、タイヤに関するトラブルがあっても現場ですぐに答えてもらえたというのは、チーム力として大幅なアップだと感じました。頼もしい人たちとダカール本番を迎えられると思うと、嬉しいですね」
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いよいよダカールラリーまで2か月を切り、チームはさらに本番までの準備を進めてきます。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。