氷上性能20%アップ! ブリヂストンの新スタッドレス「ブリザックVRX3」の進化の理由を開発者に聞いた【PR】
ブリヂストンから、乗用車用の最新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」が登場、9月1日より順次発売されます。最新のブリザックVRX3は、従来品であるブリザックVRX2の全方位型の大きな性能円はそのままに、氷上でのブレーキ性能を20%(※)向上したといいます。ブリザックVRX3はどのように生まれたのでしょうか。ブリヂストンの開発担当者に話を聞いてみました。
ブリヂストン独自の技術「発泡ゴム」も新技術を採用
2021年9月から発売される、ブリヂストンの最新乗用車用スタッドレスタイヤが「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」です。
いわばスタッドレスタイヤの代名詞として、北海道や北東北主要5都市での装着率が20年連続ナンバーワン、一般ドライバー装着率は46.2%。そしてプロのドライバーであるタクシーの装着率は北海道・札幌市で69.5%を誇り、全世界におけるメーカー累計出荷本数は3億本を超えるというブリザック。
その最新モデルとして登場したブリザックVRX3は、スノー性能やドライ性能、転がり抵抗性能など、スタッドレスタイヤに求められるさまざまな性能は高いままに、さらに氷上ブレーキ性能を先代ブリザックVRX比で20%向上(※)したといいます。
ブリザックVRX3はどのように進化したのでしょうか。新製品に込めた思い、開発の経緯について、ブリヂストンの開発者に聞いてみました。
ブリヂストンの独自技術である発泡ゴムですが、これはどんな原理で冬道に効くのでしょうか。
「発泡ゴムは、タイヤのゴムの中に無数に含まれる細かな気泡が、氷雪路面とタイヤ表面との間で発生する水を吸い取り、タイヤが路面をしっかり掴み、滑りやすいアイスバーンでも、スムーズな発進加速、ブレーキ性能を実現します。そして摩耗が進んでも、ゴムの奥にある気泡が次々に表面に顔を出し、性能を維持します」(井久田さん)
この発泡ゴムが、“アイスバーンに強い”ブリヂストンのスタッドレスタイヤの代名詞になっています。そもそもこの発泡ゴムは、いつ、どのように誕生したのでしょうか。
「発泡ゴムを初採用したのは、1988年に発売した『ブリザックPM-10/20』ですから、すでに33年という歴史があります。当時はスパイクタイヤへの規制が現実化してきたなかで、スパイクがなくても安全に走れる冬用タイヤが求められていました。しかし当時の冬用タイヤは、積雪路やシャーベットのような雪道こそなんとか走れても、アイスバーンでのグリップはまだ低く、力不足だったのです。そこでゴムそのものの改良に着眼し、『路面の水をゴムが吸い取る』という新たな技術で世に送り出したのです」(渡部さん)
そもそもアイス路面というのは、降った雪が溶けて水になり、それが凍って氷となり、氷とタイヤの間に水の膜ができるために滑ってしまいます。
日本の冬の場合、気温が0度付近を行ったり来たりする場所が多く、朝はマイナス、日中はプラスになって氷が溶けて、夜に凍結するような融解再凍結が起こります。その間にクルマが走って氷を磨いてツルツルになるため、とくに交通量の多い札幌や旭川などの大都市の交差点などでは、ミラーバーンと呼ばれる滑りやすくクルマにとって危険な路面ができるのです。
世界中の冬道のなかでも、もっとも過酷な状況のひとつといわれる日本の冬の路面。氷とタイヤの間にある水をいかに取り除き、タイヤを氷に密着させるかということが開発の課題でした。これこそがスタッドレスタイヤの進化の歴史になるのです。
それにしても、先代ブリザックVRX2と比べて氷上ブレーキ性能が20%もアップ(※)したというのは、近年ではあまり聞かないレベルの性能向上です。新製品のブリザックVRX3ではどのような技術を採用したのでしょうか。
技術資料を読むと、今回の製品ではブリザックの特徴である「発泡ゴム」がさらに進化し、「新気泡形状フレキシブル発泡ゴム」になったと書かれています。これは何なのでしょうか?
「発泡ゴムでいえば、先代モデルのブリザックVRX2では気泡の断面が円形だったのですが、新しいブリザックVRX3の新気泡形状フレキシブル発泡ゴムは、これを楕円形としました。さらに楕円の長い方向を路面に対し垂直方向に並べ、毛細管現象による吸水性能を向上させています」(井久田さん)
そうした開発、改良はどのようにおこなうのでしょう。
「仮説を立てた上でのシミュレーション、さらに実際に試作品を複数作っての試験をおこないます。今回の新気泡形状フレキシブル発泡ゴムでは、タイヤの表面にレーザーを当てて微細な穴を作り、どんな量やサイズ、形状、分布が最適か、テストを繰り返しました」(井久田さん)
そうした小さな気泡は、どのように作るのでしょうか。どうしてその向きまで、製造段階でコントロールできるのですか?
「タイヤの製造では、ゴムに熱を加える『加硫』という工程がありますが、発泡ゴムは、ゴムの中に練り込まれた熱で膨らむ物質が、この加硫により気泡となる仕組みです。その気泡が思ったとおりに並ぶよう、材料担当の部署に依頼します。そうして用意された材料を使い試作品を作り、想定どおりに気泡が並んでいるか確認し、実際に性能を評価します。商品化まで、そうしたサイクルを何度も繰り返しました」(井久田さん)
(文中の※)試験条件の詳細はブリヂストンHPをご覧ください