流行りのSUVではない! 新型ジムニーが目指した唯一無二のオフローダーとは
パワーが欲しいなら1.5リッター搭載のジムニーシエラ
実際、こんなところ登れるの? というような、岩肌が見えていかにも滑りそうな、しかも壁に近い角度の坂もグイグイ登れるし、これは階段ですよ!? と言いたくなるような凸凹の坂も見事にクリア出来てしまいます。
しかも、従来モデルまでだったらテクニックを駆使して行けた場所でも、ブレーキLSDトラクションコントロールやヒルディセント&ヒルホールドコントロールなどの電子デバイスが追加されたことで、テクニックいらずに誰でもクリア出来てしまうのです。ちょっと拍子抜けするくらいにアッサリと。
とはいえ、日本の場合はこういったところに走りに行くまで舗装路を走っていくことがほとんど。ここが乗り難いと意味がありません。
しかし、新型ジムニーではステアリングダンパーが高速域ではステアリングからの振動を抑えてくれるし、足回りも舗装路面でもしっかりとバランスを保ち、重心の高さを感じさせずに、安定してコーナリングもこなしてくれるのです。全領域で感心するしかないほど、よくできています。
今回試乗したのは5MT(マニュアル・トランスミッション)モデルでしたが、シフトフィールもなかなかよくて、やっぱりMTだよね! と頷ける愉しさがありました。
でも排気量は軽自動車の上限である660cc。ターボとはいえ、高速道路を走るとなると、もう少しパワーが欲しいのも本音だったりします。そこで候補として挙がってくるのが1.5リッターエンジンを搭載している「ジムニーシエラ」なわけです。
搭載エンジンのほかは、トレッドを広げてオーバーフェンダーとサイドアンダーガードを装着。つまりトレッド幅とタイヤが違うだけで、あとは一緒なのですが、これが不思議と座った瞬間から感覚が違うのです。
開発者の方は「同じような性格と味付けに作りました」といいますが、私の印象としては、ジムニーシエラは少々リフトアップしたオフローダーに乗っているような感触です。
今回、このジムニーシエラでは舗装路しか走れませんでしたが、コーナリングでのロールもジムニーより大きく感じました。パワーの余裕はやっぱり欲しいところですが、バランスのよさはジムニーの方が良かったと思います。
個人的にも余裕があればすぐにでも欲しい1台です。これでモンゴルラリーに行けたら、いい勝負できるんじゃないか…と思わず妄想を膨らませてしまうほどのクルマでした。
【了】
Writer: 竹岡 圭
フリーランスのタレント&モータージャーナリストとして活動してきたが、2007年以降は芸能プロダクションに所属、タレントとしてさらなる本格的な活動を始める。現在、TVのワイドショーやバラエティ番組へのレギュラー出演、ラジオ番組のパーソナリティなどを務める。MCやレポーター、コメンテーターの他、イベントでのトークショーもこなすなど、多方面で活動中。雑誌・新聞・Webと幅広く執筆活動もしている。