「オートハイビーム」はまぶしくない? 2020年には自動点灯義務化、ヘッドランプどう進化
「照射パターン10億通り」も 歩行者にはまぶしくない?
このようにヘッドランプが進化した背景には、センサーやカメラを駆使した制御技術の進化もありますが、2000年代後半から徐々にLEDヘッドランプが普及してきたことが挙げられるでしょう。LEDは1個あたりの照度は小さいものの、複数組み合わせて光を制御することができるのです。
アウディの「マトリクスLEDヘッドライト」などは、その特徴を活かしたものでしょう。2014年発売のA8などから搭載されたこのヘッドランプは、複数のハイビーム用LEDを組み合わせることで、約10億通りもの照射パターンを形成するというもの。アウディジャパンによると、カメラで周囲の光源を認識して細かくパターンをつくり、光量や照射範囲を刻々と変化させていくそうです。「スイッチを入れているだけでいいので、いちど使うとすごく便利です」とのこと。
2017年にマイナーチェンジされたメルセデス・ベンツSクラスのヘッドランプは、片側84個ものLEDを制御するといいます。このSクラスでは、対向車や前走車がない直線道路を約40km/h以上で走行している場合に約650m先まで照射する「ウルトラハイビーム」も搭載。これは2018年7月発表の新型Cクラスにも採用されています。
しかしながら、ハイビームは歩行者にとってはまぶしく感じられることもあります。これまで紹介してきたようなハイビームの制御技術は、基本的に対向車のヘッドランプや先行車のテールランプなどを認識して照射範囲を調整するものですが、歩行者はどう認識しているのでしょうか。
アウディジャパンによると、「『マトリクスLEDヘッドライト』では、照らす先に光源があるかどうかを認識して調整しています。自転車のリフレクターや道路標識に反射した光なども認識しますが、歩行者は基本的に照らされます」とのこと。逆に言うと、まぶしいからといって歩行者を照らさないのは、クルマにとっても歩行者にとっても安全ではないと話します。
ちなみに、2016年10月には、昼間にも点灯する「デイタイムランニングランプ(DRL)」に関する基準も定められました。DRLはすでに欧州各国ではヘッドランプとは別に専用のランプとして取り付けが義務付けられていたものの、日本では未認可だったことから、輸入の欧州車などでは減光したうえで車幅灯などとして使っていたようです。日本での基準制定を受け、アウディでは2017年8月以降出荷モデルから順次、イグニッションをオンにすると自動で点灯するDRLを日本向けにも標準装備しているとのことです。
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