日産新型「“上級”SUV」初公開! ムラーノ級ボディ×「発電機」搭載!? 「NX8」登場、中国
日産は2025年12月6日、中国向け新型電動SUV「NX8」の画像を公開しました。「エクストレイル」よりも大きいボディを持ち、電気自動車と発電用エンジン搭載車を用意するといいます。中国で復調の兆しを見せる日産が投入する新型モデルは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
日産、中国向け新型電動SUV「NX8」の画像を公開
2025年12月6日、日産は中国向けに投入する新たな電動SUV「NX8」の画像を公開しました。
いったいどのようなクルマなのでしょうか。

大幅な赤字による工場閉鎖や人員削減など暗い話題が続く日産ですが、一方で中国事業は積極的な新車種投入により、業績は改善傾向にあります。
2025年10月には前年同月比10.9%増、前月比10.3%増の6万7855台を販売し、5か月連続で販売台数を更新しました。この好成績に一役買っているのが、2025年4月に発売された中国専売BEVの「N7」です。
日産 N7は全長4930 mm x 全幅1895 mm x 全高1484~1487 mm、ホイールベースが2915 mmと海外市場で販売しているセダン「アルティマ」よりも少し大きいサイズで、プラットフォームなどは日産の独自開発と言います。
日産車という安心感はもちろん、そこに高度な運転支援機能や中国の特色あるトレンドを反映させた内外装を盛り込み、11.99-14.99万元(約262.9-328.7万円)という価格帯で投入したことがヒットの要因として挙げられています。
販売台数は4月の発売以来毎月6000台前後を販売しており、2025年8月には1万台の大台も突破しました。
もちろん中国では販売台数で圧倒する中国メーカーの他のEVが多く存在しますが、日産 N7がトヨタの中国専売BEV「bZ3X」とともに外資合弁メーカーのBEV販売ランキングでワンツーを独占している事実は、日系メーカーの中国展開における新たな時代の到来を感じさせます。
日産はN7に続き、2025年11月にはPHEV「N6」を正式発表しました。
「PHEV版N7」と位置付けられるN6ではN7とほぼ同じデザインを持ちつつ、全長・ホイールベースをN7より100 mm前後、全幅を10 mm短くして少し小型にしています。
パワートレインは新開発のNR15型1.5リッター直列4気筒エンジンに出力201 hpのフロントモーター、そして容量21.1 kWhの駆動用バッテリーを組み合わせています。
電気だけで180 kmを走れる(中国独自のCLTCモード値)としており、ちょっとした日常使いだけならガソリンを必要としない走りも可能です。
N6のメーカー希望小売価格はN7よりも2万元(約44万円)ほど安い9.99-12.99万元(約219.1-284.8万円)となり、N7に続くヒット作になることが期待されています。
そんな中、2025年12月6日に日産は中国専売EV「N」シリーズ初のSUV「NX8」の画像を公開しました。
ボディは全長4870 mm x 全幅1920 mm x 全高1680 mm、ホイールベース2917 mmと「エクストレイル」よりも大きく、かつて日本でも販売されていた「ムラーノ」の最新モデルに匹敵するサイズ感です。
フロントマスクはN7やN6と同様にグリルレスを基調とし、左右に別れたヘッドライトユニットの上には水平基調の一体型デイライトイルミネーションを有する近未来的な印象です。リアでは左右一体型のテールライトがリアゲートの中腹を貫き、ここ最近のトレンドを取り入れたデザインとなります。
一方でこれまでのN7やN6と大きく異なるのが、フロントガラス上部にLiDARユニットを搭載している点です。N7やN6はカメラのみだったものの、NX8ではカメラとLiDARを組み合わせていると見られ、より正確で安全な運転支援機能が期待されます。
パワートレイン構成の詳細についてはまだ発表されていないものの、中国政府機関への届出情報によれば、NX8は純電動の電気自動車(BEV)と、発電用エンジンを搭載したレンジエクステンダー付きEV(EREV)の2種類を用意する模様です。
BEVモデルでは中国の車載バッテリー大手「CATL(寧徳時代)」が開発した最新型の5C(理論値で従来比5分の1で充電可能)リン酸鉄リチウムイオンセルを採用、800 Vの高電圧プラットフォームと合わせて数十分で充電が完了する超急速充電に対応するとしています。
モーター出力は288 hpと335 hpと届け出られていることから、走行性能の異なる複数のグレードや駆動方式で展開されることでしょう。
一方でEREVモデルではN6向けに開発されたNR15エンジンのターボ型を発電用に搭載し、出力261 hpのモーターで駆動すると届出情報から確認できます。
日産はNX8を2026年上半期に正式発表するとしています。2026年4月には北京モーターショー2026も開催予定ですので、これに合わせて詳細な装備や価格帯が明かされると予想されます。
Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト
下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。










