全長6m超! トヨタ新「すごいクルーザー」開発中! 左右の“6輪”が独立して駆動する「最強・6WD」採用! “極限の地”を駆け抜けて命を守る「ルナクルーザー」に世界も期待大!
JAXAとトヨタが現在共同研究中の有人月面車「有人与圧ローバー(通称:ルナクルーザー)」とは、一体どのようなクルマなのでしょうか。
全長6m超! トヨタ新「すごいクルーザー」開発中!
2025年に開催された大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)がトヨタと共同研究中の有人月面車「有人与圧ローバー(通称:ルナクルーザー)」の、5分の1スケールモデルを展示しました。
これは一体どのようなクルマなのでしょうか。

ルナクルーザーは、JAXAとトヨタが共同研究している、燃料電池車両技術を用いた月面探査車。
同車は、重力が地球の6分の1、温度は120度からマイナス170度、真空、強い放射線、表面は極めて細かい砂(レゴリス)に覆われているという、過酷な環境の月面においても、宇宙服を着ることなく滞在できるように設計されました。
またルナクルーザーは、宇宙飛行士がローバー内で生活しながら月面を探査できる、移動機能と居住機能を合わせ持った世界初の探査車であり、同時に日本初の単独で機能する「有人宇宙船」でもあります。
さらに宇宙飛行士が乗っていない無人の期間にも、地球からの遠隔操作で、月面の地質・資源の調査などをより広い範囲で行うことが可能。
現在、世界では米国主導の国際協力体制のもとで、月面への有人着陸および長期滞在を通じた持続的な月面探査を目的とする「アルテミス計画」が進行中なのですが、無人期間にも活躍できる強みを持ったルナクルーザーは、同計画に大きく貢献する1台です。
走行性能としては、左右に3輪ずつ備える「6輪車」で、すべての車輪が独立して駆動。これにより高い踏破性を実現します。
1日あたり26km、10年間で1万km走れる能力を備えることを目指して研究されており、岩やクレーターといった障害物が存在する月面を安全に走行できるよう、障害物検知・測距センサーとしてLiDAR(照射したレーザー光の反射光を観測することで物体との距離や形状を計測する技術)を搭載。
発電には太陽電池パネルを使用しますが、夜間は発電できず、蓄電にも限界があるため、再生型燃料電池(RFC)を採用しました。
RFCは太陽電池パネルから得た電気を使って、水を水素と酸素に電気分解し、分解した水素と酸素を利用して発電するシステムで、発電時には水が発生するので、発生した水を再び電気分解して発電に利用する――という使い方が可能です。
この太陽電池パネルは大きさが10mほどあり、停車時のみ広げて発電・蓄電。走行時には、全長6mほどのボディに収納します。
頻繁に出し入れする必要があるため、1500回以上の展開・収納を安定的に行える機構を備えているのもポイントです。
先述したとおり、月面は人間にとってもルナクルーザーにとっても過酷な環境ですが、昼間の走行時はオーバーヒートしないように外部のラジエーターによって冷却し、夜間は排熱を抑えて船内を温めるよう制御。
上記の熱制御システムに加え、宇宙飛行士の呼吸から発生する二酸化炭素を除去する生命環境維持装置を搭載することにより、船内はシャツスリーブで過ごせる環境を保ちます。

ちなみに、ルナクルーザーのフロントマスクには「ランドクルーザー40系」や「FJクルーザー」を彷彿とさせる、丸目ライトを囲む造形やグリルのようなディテールが採用されており、トヨタ伝統の「クルーザー」シリーズの一員だと納得してしまうユニークな仕掛けにも注目です。
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トヨタの燃料電池車両技術を採用して開発の進む、月面探査車のルナクルーザー。
JAXAは、「同車の開発を通じて獲得した技術を発展させ、取得した月面に関するデータを公開・活用することで、将来月面での水資源プラント、推薬生成プラント、月拠点などの構築、民間との連携をはじめとした月面活動が促進され、さらなる人類の活動領域の拡大に貢献する」と述べました。
同時に、「月面だけでなく、将来の火星探査に向けた技術の事前実証や技術獲得も可能になる」としています。
Writer: パワーボム
関西大学社会学部卒業後、某CS放送局運営のメディアにてライターとしてのキャリアをスタート。自動車ブログの立ち上げから携わり、主にトヨタ車やレクサス車、キャンピングカーを中心に取材記事を多数執筆する。



























