スズキ 20年ぶりに新型「ジムニー」発売 価格145万8千円から すでに大人気で納期も半年待ち?

ついに発売されたスズキの新型ジムニー。3代目登場から20年の月日を経ての登場です。すでに事前予約で納期が半年ともいわれています。いったいどんなクルマに仕上がっているのでしょうか。

4代目 新型「ジムニー」スタイルは原点回帰、中身は大幅進化

 一時は絶版になるという噂があったジムニーですが、3代目登場から20年の月日を経て、ついに4代目となる新型ジムニー(JB64/74型)が登場しました。事前予約した人の話では、「納期はすでに半年待ちになっている」と聞きます。発表前から人気となっている新型ジムニーはいったいどんなクルマに仕上がっているのでしょうか。

スズキ 新型「ジムニー」(軽四輪駆動車)[4代目]

 まず我々の目を奪ったのは、新型ジムニーのスタイリングです。空力性能をとことんまで突き詰め、燃費や走行性能を確保するイマドキのSUVと真逆で、まるで2代目ジムニーを彷彿とさせるスクエアなボディフォルムに回帰。マスクも縦型グリルを継承し、さらには丸形ヘッドライトに戻すなど、徹底して雰囲気作りを行っています。

 新型ジムニーを担当したチーフエンジニアの米澤宏之氏は、「ジムニーは歴史があるクルマなので、それぞれの人がそれぞれのジムニーのイメージというのを持っている。それは、デザインだったり、走りだったり。それを精査して検討し、新型に反映させました」といいます。

 インテリアも、2代目の意匠を思い起こさせるスクエアなメーターフードの丸形2連メーターを中心に、これも懐かしいアシストグリップバーを復活させるなど、まさに“古き良き”雰囲気に溢れているのです。

 前出の米澤氏は「一見するとヘリテージデザインに見えるが、決してそんなことはなく、ジムニーらしさを追求したら、こういうカタチになった」とのこと。

 基本的なメカニズムの面では、ラダーフレームボディやリジッドアクスル式3リンクサスペンション、エンジン縦置きFRレイアウト、手動切り替えレバー式パートタイム式4WDと、これまでのジムニー伝統のDNAを継承しています。だからと言って、新型は決して古くさいクルマではありません。

 まずコストを度外視して、ラダーフレームを新造したのは賞賛に値します。X型のクロスメンバーを増やしたことで堅牢性と衝撃吸収性の大幅な向上を果たしているのです。クルマの骨格と言えるラダーフレームが進化してことで、新型ジムニーはこれまでにはない魅力的な走りを見せてくれます。

 もちろん、サスペンションも新しく見直しています。新フレームの剛性アップと相まって生まれる、シャープなハンドリング、ダートの衝撃を軽くいなしてくれる快適な乗り心地は感動的でさえあります。

4代目にして、ジムニーは理想形に限りなく近づいた

 パワートレインも生まれ変わりました。軽自動車版はスペーシアやハスラーなど、スズキ軽自動車の主力エンジンになっているR06A型ターボエンジンユニットを搭載。ただし、高い位置に縦置きに置かなければならないことから、ほぼ新設計と同じということです。

スズキ 新型ジムニーのR06A型ターボエンジンユニット

 これに5MTと4ATが組み合わさり、メーカー発表では先代とほぼ同じ走行特性を確保しました。ですが、4ATにはロックアップ機構が追加されており、3代目のような高回転でのスリップが解消。新エンジンも低回転からトルクが発生するロングストローク形になったことで、特に高速道路において走りやすさが大幅に向上しています。

 変わったと言えば、JB74型ジムニーシエラは劇変と言ってもいいでしょう。先代は1.3?直4エンジンを積んでいたにも関わらず、勾配のきつい高速道路などでは、ATのジムニーに抜かれるという逆転現象が起きていました。ですが、新型ではK15B型1.5リッター直4DOHCエンジンに換えて、ユーザーが求めていたパワフルな余裕の走りをようやく実現しました。

 さて、JB64/74型の最上位グレードに衝突軽減自動ブレーキ機能などを内包したスズキセーフティが標準化されたことも注目ですが、やはりジムニーファンとしては、ブレーキLSDトラクションコントロールが全車装備になったことがトピックです。

 これはABSのユニットを使ったもので、空転したタイヤに自動的にブレーキをかけることでトラクションを回復させるという電子デバイス。これまでリミテッド・スリップ・デフやデフロックといった差動制限装置を後付けして悪路走破性を高めるユーザーが多かったのですが、ブレーキLSDトラクションコントロールが付いたことで世界が変わります。

 例えオフロード走行が未経験で走行テクニックを知らなくても、ドライバーはアクセルペダルを踏んでハンドル操作をするだけで、砂地や泥濘地などの悪路でも走ることが可能になります。また、タイヤがオンロード志向トレッドパターンでも、信じられないほどの走破力を発揮するのです。

 新型ジムニーはまさに伝統と新技術を融合したモデルです。20年ぶりのフルモデルチェンジということもあり、各部を徹底的にブラッシュアップ。4代目にして、理想形に限りなく近づいたと言えるのではないでしょうか。

 価格(消費税込)は、ジムニー(軽四輪駆動車)が145万8000円から184万1400円、ジムニーシエラ(小型四輪駆動車)が176万円から201万9600円です。

【了】

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Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

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