カッコイイだけじゃないネオクラシック! モト・グッツィ「V9 ボバー」
名門モト・グッツィの大きな特徴でもあるエンジンは、空冷V型2気筒を縦置きに搭載し、車体を前方から見るとエンジンがVの字に見えます。
コーナーを駆け抜ける度に歓びがある
空冷V型2気筒エンジンを縦置き、つまり車体の前方から見てV字に見えるようフレームに積むのが、イタリアンモーターサイクル、モト・グッツィの大きな特徴です。ハーレーダビッドソンも空冷V型2気筒エンジンが伝統ですが、あちらは横置き。つまり車体の横から見ると、エンジンがV字に見えます。
縦置きVツインの利点は何でしょう。まず、Vの字に開いた左右2つのシリンダーへ均等に走行風が当たり、冷却性に優れます。横置きVツインの場合、シリンダーは前後に配置されるので、後ろ側のシリンダーは熱を持ちやすくなってしまうのです。
そしてモト・グッツィでは、金属製のシャフトで後輪を駆動する「シャフトドライブ方式」を採用していることも忘れてはなりません。一般的なチェーンドライブ式より耐久性が高くメンテナンスフリー、音も静かでツアラーには最適です。
このシャフトドライブ方式と縦置きVツインが抜群の相性を見せます。というのも、クランクシャフト軸が進行方向に置かれ、駆動力を伝達するとき同軸方向となって効率がとても良いのです。ただし、ドライブシャフト後端のファイナルギヤで、回転方向をリヤホイールに向けて直角に変換する必要があり、バネ下重量を追求すると、ここは不利になってきます。
さて、『V9 BOBBER(ボバー)』ですが、黒尽くめの車体に排気量853ccの空冷OHV2バルブエンジンを搭載し、前後ホイールは16インチのアルミダイキャスト製。フェンダーが短くカットされ、余計な装飾は省かれた車体はいたってシンプルです。
これは車名が示すとおり「BOBBER(ボバー)」と呼ばれるカスタムスタイルで、走行中に揺れ動いた様子“Bobbing(ボビング)”に由来すると言われていたり、“Bobb”=短く切り落とすという言葉から来ているという話もよく耳にします。いずれにせよ、1940~50年代に端を発するガレージカスタムで、近年ではこのスタイルにまた脚光が当たり、オマージュしたモデルを各メーカーがリリースしています。
トラディショナルなスタイルながら、現代のモーターサイクルに相応しい数々の電子デパイスも装備され、軽快な走りを実現しているのが魅力です。ブレーキはフロントとリヤがそれぞれ独立して制御される2チャンネルABSで、シビアなコントロールにも対応してくれますし、2段階の介入度が設定されるトラクションコントロールもウェットや路面コンディションに優れないときに心強いものとなります。さらにイモビライザーやUSBポートもありがたい装備です。