新車67万円! スズキ「アルト」に“両側スライドドア”採用! ガバッと開く斬新「3ドア車」がスゴイ! “衝撃的ドア”搭載した「スライドスリム」はインパクト大!
かつてスズキは、「アルト」に“両側スライドドア”を採用した斬新なモデルを販売していました。
スズキ「アルト」に「両側スライドドア」採用!
スズキの「アルト」は、1979年の発売以降、フルモデルチェンジを繰り返しながら45年以上も愛され続けているロングセラーの軽自動車です。
長い歴史の中には数々の派生モデルが登場しており、とくに1988年に発売された3代目アルトでは、個性的なモデルが多く存在しました。

3代目アルトは、2代目とボディサイズは変わらないものの、ホイールベースを延長して車内空間を拡大し、「ゆとりある居住スペース」を実現。
さらにエクステリアも、直線を基本とするヨーロピアンテイストを取り入れたことで人気を博しました。
そんな3代目はバリエーションが豊富だったことも特徴で、とくに個性的だったのは「アルト スライドスリム」です。
アルト スライドスリムは、ボディサイズやエクステリアデザイン、パワーユニットなどは通常のアルトと同じ。しかし、運転席側・助手席のドアが「スライドドア」になっていました。
最近はスライドドア搭載の軽自動車は珍しくありませんが、当時のスライドドアはミニバンなどワンボックス車に装備するのが一般的だったため、アルト スライドスリムは非常に斬新な試みだったのです。
また近年の軽自動車のスライドドア仕様車は、後席に座る人が乗り降りしやすいよう、リアドアをスライドドアにしたモデルが大半ですが、アルト スライドスリムは「3ドアハッチバックの左右2枚のドア」がスライドドアになっていたのです。
さらに、運転席側のシートは回転する仕組みを採用しており、シートを外側に向けることで、スムーズに乗降することが可能。
“回転する座椅子”のようなシンプルな構造ではあるものの、「スカートをはいた女性でもスムーズに乗り降りできる」として、スライドドアと共に注目を集めた機能でした。
そんなユニーク尽くしのアルト スライドスリムですが、1990年に軽自動車の規格変更を受けて、550ccから660ccへと排気量がアップ。
このマイナーチェンジの際に、アルト スライドスリムの構造が見直され、最大の特徴であった「左右スライドドア」が廃止となってしまいます。
現在の一般的なスライドドアの活用法を踏まえると、「助手席側のスライドドアを残し、運転席側をヒンジドアに変更する」といった形になりそうですが、アルト スライドスリムはその逆をいきました。
なんと運転席側にはそのままスライドドアを残し、助手席側を前後2枚のヒンジドアへと変更したのです。
その後、アルトは1994年に4代目へとモデルチェンジしますが、珍しい構造の“スライドスリム”は引き継がれることなく、そのまま消滅。
こうして3代目アルトのみに存在したレアモデルとなったのです。
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2000年以降で見ると、トヨタの「ポルテ」や「スペイド」といった、「助手席側にある1枚ドアがスライドタイプ」のクルマが登場しましたが、「3ドアの左右2枚がスライドドア」という市販モデルは非常に稀。
2006年に日本に導入されたプジョー「1007」がかろうじて該当しますが、それも2008年で販売終了しています。
このように、極めてユニークなモデルであるアルト スライドスリムの当時の新車価格(消費税抜)は67万5000円でしたが、現在では中古市場に姿を見せることもほとんどなく、入手困難な一台です。
Writer: 大西トタン@dcp
(株)デジタル・コンテンツ・パブリッシング所属の編集者・ライター。幼少期に父親と一緒に灯油でエンジンのプラグを磨いたのをきっかけに車好きになる。学生時代はレーサーを目指しカートに挑むも挫折。現在は磨いた腕と知識を武器に自動車関係の記事をメインに執筆。趣味は週末に愛車フリードでのグルメ自販機巡り。













