全国にあるご当地ルールって何? 「茨城ダッシュ」でも有名な県内の交通トラブルと対策! 茨城県古河市の交通マナーやその実態は
日本全国には愛知県の「名古屋走り」、長野県の「松本走り」、茨城県の「茨城ダッシュ」などのように、全国各地では、その土地の名称がつけられたご当地交通ルールが存在し、いずれも危険な運転を示す言葉として使われています。今回は「茨城ダッシュ」でも有名な茨城県内の一例として茨城県古河市の現状を紹介します。
地域別に見た交通トラブルと対策。茨城県古河市の交通マナーやその実態は。
かつて茨城県警は「茨城ダッシュ」に対して注意喚起を行っているほか、現在も県内での情報提供を募っています。
そんな茨城ダッシュが絶えない茨城県内で事故が多い場所には、どのような特徴があるのでしょうか。

通称「茨城ダッシュ」とは、交差点手前で赤信号で停止中、青信号に変わった瞬間、またはその直前に猛ダッシュで対向直進車よりも先に右折することを指します。
とくに対向直進車より先に交差点を小回り(ショートカット)して右折するため、進行先の横断歩道を横断する歩行者の接近に気づくのが遅れたり、フロントガラス右側の車両のピラー(柱)による死角等が増えるので危険だと言われています。
また道路交通法の観点でも「横断歩行者等妨害等」「信号無視」「交差点右左折方法違反」「交差点優先車妨害」といったものに抵触する可能性も。
対して茨城県警は「正しい左折方法」として以下のアナウンスを展開しています。
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1.道路中央に寄る
2.対向車線と進行先の横断歩道の安全を確認
3.交差点中心の内側を徐行進行
4.横断歩道手前で再度左右の安全確認
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また茨城県警では、信号交差点において、白バイや覆面パトカーでの取締りを強化しているといい、「茨城ダッシュ」の根絶に目指しています。

そんな茨城県の交通事情ですが、県内の交通事故状況はどうなっているのでしょうか。
今回は、一例として茨城県古河市の現状を紹介します。
古河市は、国道4号線と125号線が交差する北関東の重要な交通拠点です。
物流と通勤の大動脈を担う一方で、県内でも上位に入る交通事故多発地域という現実があり、2024年時点で交通事故死亡者数が県内4位という状況にあります。
2025年に入ってからも、古河市では重大な交通事故が相次いでいます。
4月15日午前1時30分頃、国道125号で原動機付自転車が縁石に衝突し、10代男性が死亡する事故が発生しました。
さらに7月5日午後7時8分頃には、国道4号交差点でオートバイと乗用車が衝突し、配達業のネパール国籍男性(26歳)が意識不明の重体となる事故も起きています。
一方で、長期的な統計を確認してみると、改善の兆しも見られます。
古河市内の人身交通事故の負傷者数は、2010年に1,000人を超えていましたが、2018年には427人、2019年には369人まで減少しました。
そして第10次古河市交通安全計画に掲げられた目標、「令和2年度までに人身交通事故発生件数を487件以下」も達成しています。
2019年の交通事故データを年齢層別に見ると、事故の主な原因となった当事者は「40歳~59歳」が最多でした。
一方で、65歳以上の高齢者が関わる交通事故も369件中67件発生しており、全体の約2割を占めています。
さらに、死亡事故に目を向けると、同年亡くなった7人のうち4人が高齢者でした。
この死亡事故における割合の高さから、古河市では、高齢者が関わる交通事故への対策が課題となっています。
事故の種別では、追突事故と出会い頭衝突事故が多く、2019年の車両対車両事故では、261件のうち、「追突事故が118件」「出会い頭衝突事故が77件」であることが報告されています。
事故は、交差点内および交差点付近に集中しており、日本損害保険協会の「事故多発交差点マップ(2021年版)」では、古河市上辺見の「今泉交差点」がワースト2位にランクイン。この交差点で発生した事故5件のうち、2件が右折直進による事故でした。

古河市内で事故が起きやすい道路ではまず、首都圏と東北を結ぶ国道4号線が挙げられます。
国道4号線は、交通量の多さから過剰な速度で走行する車両が多く、これが大きな問題となっています。過去5年間(2019年〜2023年)には、交差点内での右折車と直進車による事故や追突事故など、4件の重大事故が発生しました。
そのため古河市内を通る国道4号線では、古河警察署による速度取締りが重点的に行われています。
また、市内の主要道路に位置づけられている国道125号線は、自動車だけでなく自転車や歩行者の通行も多く、いわゆる混合交通による事故のリスクが高い道路です。
横断歩道を渡るときの事故など、歩行者対車両の重大事故が目立っています。

他にも、県外へとつながる国道354号線上にある三国橋交差点は、朝夕の通勤時間に交通が著しく集中します。
渋滞の発生と、複数の道路が交差する複雑な構造から、事故が起こりやすい場所になっています 。
交通事故を未然に防止するため古河市では、第11次古河市交通安全計画において、人身事故発生件数215件以下、交通事故死者数0人という目標を掲げています 。
そしてこの目標達成に向けて古河市は、多角的なアプローチによる安全対策を進めています。
具体的には、飲酒運転や妨害運転といった悪質・危険な違反への取締りを強化するとともに、高齢者向けの交通安全教室や夜間の事故を防ぐ反射材の配布といった教育・啓発活動などです。
また、子どもたちの安全を守るため、地域と連携した通学路の合同点検も継続的に実施。
こうした人への働きかけに加え、道路環境そのものの改善も進められており、事故の多い交差点では歩車分離式信号の導入や道路標識の高輝度化、生活道路では最高速度を時速30キロに規制する「ゾーン30」の整備などを通じて、より安全な交通環境の構築を目指しています。
古河市での交通事故は減少傾向にあるものの、重大事故の発生は依然として続いている状況です。
交通の要衝として発展を続ける古河市では、現在進められている交通安全対策が今後どのような効果を示すのか、その成果が注目されます。




















