2025年夏頃からの発売を予定しているSUVタイプの新型「eビターラ（e VITARA）」は、スズキとして初のBEV（バッテリーEV：電気自動車）モデルになります。そして「初」となるのは販売店も同じです。

　エネルギー源が異なるため、これまでとは違った販売ノウハウが求められる部分もあります。スズキの販売現場では初のBEVを受け入れる入念な準備がされているとのこと。

　どのような準備がされてきたのでしょうか。

　eビターラは、全長4.2m強のボディサイズ、優れた4WDシステムが特徴のSUVとなっていて、日本の道路でも乗りやすく、これまでのBEVモデルとしてはあまりなかったサイズ感は、まさに「かゆい所に手が届くBEVモデル」といえる存在です。

　いっぽう、ススキの販売現場ではBEVを売ることは初となるので、まずBEVを販売するスタッフが必要なこととしては、BEVを「実際に知ること」が必要だとスズキは考えたそうです。

「初めてのことだらけで面倒が多そうだから、あまりセールスしたくない」では意味がないですよね。

　そこでまずは比較用などをはじめ、自社で購入していた他メーカーBEVをディーラーへ貸し出し、BEVの良いところも悪いところもディーラーの営業スタッフに実際に体感してもらおうという取り組みを行っているそうです。

　確かに近年は、充電設備の普及が進まないなど、ネガティブなポイントが取り上げられることも多いBEVですが、静粛性を始めとしたコンフォート（快適）性能の高さや、レスポンスのよいモーターによるトルクフルな走りなど、BEVならではの魅力もあります。

　そのようなポイントを、販売サイドに実際に知ってもらおうという訳です。

　また、下取りで入ってきたBEVを社用車としてそのまま使う販売会社もあるとのこと。

　日産「サクラ」など、小型のBEVから再びスズキの小型ガソリン車や、マイルドハイブリッド車へと乗り換える人もいるらしく、そのようなユーザーから買い取ったクルマを活用しているそうです。

　実際、営業スタッフ自身が担当の販売エリアでBEVを使用すれば、「あそこに充電器が出来た」「あの充電器の出力が大きくて充電スピードが早い」といった、ローカルだからこそ求められるセールス・トークにも生きてくるわけです。

　そして、各ディーラーでは普通充電設備を配備しているほか、一部ディーラーでは急速充電器も用意しています。今後、スズキは急速充電を設置しているディーラーの数を増やしていきたいとのことです。

　そのほか、家庭用の充電器や充電プランに関する研修なども行い、実際にユーザーがBEVでカーライフを送るということは、どのようなことなのかというのを、具体的にイメージできるような体制造りをしてきたそうです。

　他メーカーではすでに多くのBEVが販売されており、スズキは国内メーカーとしてはBEVの後発という形にはなるものの、だからこそ販売現場でも入念に準備をしているとのこと。

　スズキ初のBEVは、その売り方にも注目したいところです。