豊田章男氏、日本自動車会議所会長に就任 「クルマをニッポンの文化に!」新たな合言葉を掲げる
2025年6月10日に日本自動車会議所は、新会長に豊田章男氏が就任したことを明らかにしました。
「クルマをニッポンの文化に!」新たな合言葉を掲げる
経済の基幹産業である自動車産業の総合団体、日本自動車会議所の会長に豊田章男氏が就任しました。
自動車工業会会長時代とは異なり「人々の心を動かす」ことを目指すと語った豊田氏は、「クルマをニッポンの文化に!」を新たな合言葉に掲げました。

日本自動車会議所は、戦後の混乱期である1946年(昭和21年)6月14日に設立された歴史ある団体です。
設立当初から自動車産業と社会の復興を目的とし、78年の長きにわたり活動を続けています。
現在、日本の自動車産業は全就業人口の約1割(550万人)、製造業製造品出荷額の約2割(56兆円)を占める重要な基幹産業に。
自動車産業の幅広い分野を包括する団体として、日本自動車会議所は「クルマ社会の健全な発展」や「日本経済、自動車産業、国民生活への貢献」を使命に掲げています。
会員には自動車や部品メーカーなどの生産分野、ディーラーや整備事業者などの販売・整備分野、トラック、バス、ハイヤー・タクシーなどの運輸・交通分野、さらには自動車リースやレンタカー、損害保険、石油、リサイクルなどの多様な自動車関連分野から162の団体・企業が名を連ねています。
今回、新会長に就任した豊田章男氏は、就任挨拶で「クルマをニッポンの文化に!」という新たな合言葉を明かし、次のよう挨拶しました。
「設立当時の趣意書には『国民の生活維持と文化向上にクルマは不可欠』とあります。
おかげさまで今、クルマは日本の人流、物流に欠かせないものとしてお役に立てていると思います。
しかし文化としてのクルマは日本のお役に立てているでしょうか?」
この疑問に対して、豊田氏はAIに「日本の自慢は何か」と質問したところ、「文化、伝統、観光、自然」が最初に出てきて、自動車産業は「技術、産業」の次に出てくるにとどまったと紹介。
一方でドイツでは「経済と技術力、その代表選手がクルマ」という結果だったといいます。
豊田氏は「日本もドイツのように、クルマが我が国の文化だと一番に答える国であったら、我々はどんなに嬉しいだろうと感じます」と述べ、「あなたの国を自慢してくださいと聞かれた多くの日本人が『日本の自慢は何と言ってもクルマ』と答えるようにしていきたい」と抱負を語りました。

●自工会と自動車会議所、動かしたい相手の違い
豊田氏は、先に会長を務めた自動車工業会(自工会)と自動車会議所の違いについても言及しました。
「自工会の時は、自動車産業が国から頼られる存在になっていきたいと言っていました。動かしたい相手は国であり政府だったと思います」と振り返り、「それに対して今回自動車会議所で動かしていきたいのは人々の心です。クルマが自慢したくなる文化になっていくためには、政府ではなく日本の皆様の心を動かさないといけない」と説明。
また会員構成の違いにも触れ、「自工会には製造の会社が集まっていますが、会議所には販売、整備、運行、そして保険、エネルギーといったクルマに関わるほとんど全ての業界団体、企業が集まり、今年からはユーザー団体のJAFも加わりました」と述べました。
そんな自動車協議会の設立は豊田会長の祖父でもある豊田喜一郎氏。
豊田会長いわく「日本が敗戦してからたったの3か月後に設立し、『民主主義自動車工業国家』、『平和日本の再建』、『世界文化への寄与』ということを豊田喜一郎氏が掲げました。それだけ、自動車工業が日本を支えないといけないということだったのだと思います」と語り、その想いを繋いでいく決意を示していました。

※ ※ ※
自動車産業は現在「100年に一度の大変革期」と言われ続けてきました。
電動化や自動運転、CASE、MaaSといった新たな潮流の中で、SDGsや2050年カーボンニュートラルの実現にも取り組む必要があります。
そうした中でクルマは単なる交通・物流インフラにとどまらず、「生活の足」そのものであり、災害時には「ライフライン」としての重要性も高まっています。
豊田氏は「そのみんながクルマを日本の文化にするため色々なアクションを始められたら、日本の経済や国の力にもっとお役に立てるようになる」と期待を示しました。
クルマは、日本の産業として発展してきましたが、その次のステージとして「文化」となることで、日本人が誇りに思える存在になっていくことに期待せずにはいられません。
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