過信は禁物!「自動ブレーキ」が作動しない時はどんな時?

車高を下げたりタイヤのサイズの変更で作動しない可能性も高まる?

 さらに「車高を下げたりタイヤのサイズを極端に変えると、正常に作動しない可能性が高まります。空気圧も影響します」といいます。

ダイハツのスマートアシストIIIの作動イメージ

 もちろんクルマの経年劣化なども視野に入れ、ある程度の許容範囲は持たせているそうですが、クルマのカスタムチューニングやドレスアップをする時は特に注意が必要そうです。

 ミリ波レーダーと赤外線レーザーは、前述のようにカメラと併用しなければ、歩行者を検知できないことが一番の欠点です。赤外線レーザーは価格が約2万円と安い半面、作動速度の上限も時速30kmと低いです。市街地走行中の追突を防ぐ簡易型といえます。

 そしてミリ波レーダーや赤外線レーザーは、カメラ方式に比べると逆光などの悪天候に強いといわれますが、開発者は「吹雪、大雨、濃霧などでは、やはり性能が下がります」と言います。

 このほかカーブを曲がる時など、ガードレールのような遮蔽物(しゃへいぶつ)を検知して緊急自動ブレーキが作動する誤作動も報告されています。通常の走行時に、唐突に急ブレーキが作動するわけですから、後続車から追突される危険を伴います。

 いずれにしても緊急自動ブレーキは、さまざまな条件によって作動しないことがあります。本来ならばドライバーの視覚が低下する雨、霧、逆光などの時こそ作動して運転ミスを補って欲しいですが、実際は緊急自動ブレーキの機能も低下する場合があります。

“自分のクルマには緊急自動ブレーキがついている”と過信した運転は禁物で、装着されていないクルマ同様に、常に注意を払った運転を心がけましょう。

【了】

メーカーや車種で違う様々な緊急自動ブレーキを写真で見る(10枚)

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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