昼はハリウッドのスタントマン、夜は逃がし屋 クライム・サスペンス「ドライヴ」

2013年に日本公開されたクライムサスペンス『ドライヴ』は、『ラ・ラ・ランド』での好演も記憶に新しいライアン・ゴズリングが主演。そっと運転しているオープニングから中盤では過激なカーチェイスまで楽しめる映画です。

ドライバーの孤独と悲哀を見事に描き出す物語

『ラ・ラ・ランド』での好演も記憶に新しいライアン・ゴズリングが主演するクライムサスペンス『ドライヴ』。デンマーク出身のニコラス・ウィンディング・レフン監督は本作でカンヌ国際映画祭・監督賞を受賞し、華々しいハリウッドデビューを果たしました。

カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞

 ゴズリング演じる主人公の“ドライバー”は超がつくほど寡黙な男。普段はカースタントマンとして働いていますが、実は夜な夜な“逃がし屋”として暗躍しています。しかも、淡々とストイックに仕事をこなすドライバーの仕事っぷりを映画冒頭、外装どノーマルの地味なシボレー・インパラ(2006年型)に銀行強盗を乗せて警察の捜査網を見事にくぐり抜ける、たった5分間で完璧に伝えきってしまうのだからスゴい。

 いわゆるパトカーやヘリとのチェイスといえば、ドリフトをかましたり一般車両を巻き込んで爆走したり……という映像をイメージしがち。しかしこの冒頭シーンでは、そっと路肩に停車したり高架下に隠れたりと、緩急をつけた頭脳戦が繰り広げられます。これが地味ながらなんとも緊張感抜群で、思わず息を呑んで見入ってしまうことでしょう。

 そして愛車のシボレー・シェベル・マリブSS(1965年型)で自宅へと帰るドライバー。そこにネオンサインのようなオープニングクレジットが被るのですが、ダークでレトロなシンセサウンドと相まって抜群にカッコいい! この一連のシークエンス(順序)を見た時点で、多くの観客が傑作になることを確信したのでした。

 また物語中盤には、フォード マスタングGT(2011年型)によるカーチェイスシーンも。冒頭とは打って変わって激しいカーバトルを披露しますが、その後の壮絶なバイオレンス展開と併せて、愛する女性のために危ない橋を猛ダッシュで渡るドライバーの破滅的な人間性を表現しています。

 甘ったるいシーンを排除し、ひたすら高濃度の純愛と暴力を描く『ドライヴ』。唯一のラブシーンもただただ切なく、我々観客は唇を噛み締めつつドライバーの“男のケジメ”を見守るしかないのでした。

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