新車で149万円! トヨタ「超コンパクトミニバン」がスゴい! 全長4.2m級で7人乗り!? 便利なスライドドアはなかった「パッソセッテ」とは
かつてトヨタが販売していたコンパクトミニバン「パッソセッテ」は、戦略的な低価格設定などで注目されたモデルでした。わずか3年強で姿を消したパッソセッテについて紹介します。
わずか3年強で姿を消したトヨタの「コンパクトミニバン」とは
2008年に登場したトヨタのコンパクトミニバン「パッソセッテ」とは、どのようなクルマだったのでしょうか。
![全長4.2m級で7人乗りを実現! トヨタ「超コンパクトミニバン」とは[画像はOEMモデルのダイハツ「ブーンルミナス」]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/05/20250507_DAIHATSU_Boon_Luminas_00000.jpg?v=1746613718)
パッソセッテは、2008年12月に登場した全長4195mm×全幅1695mm×全高1620mmのコンパクトな3列シート7人乗りミニバンです。
開発・生産はダイハツが担当するOEMモデルで、ダイハツでも同時期に兄弟車「ブーンルミナス」が販売されていました。
車名の「セッテ」はイタリア語で“7”を意味し、コンパクトカー「パッソ」を7人乗りにしたモデルであることを示しています。
コンセプトは「広くて使いやすい7シータースタイリッシュコンパクト」。
主に子育て中の30代から40代女性をターゲットとし、買い物や送り迎え、週末のレジャーといった日常使いに適したモデルとして企画されました。
最小回転半径は5.2mと小回りが利き、扱いやすさにも配慮されています。
搭載されたパワートレインは、1.5リッター直列4気筒DOHCエンジン「3SZ-VE型」で、最高出力109PS、最大トルク141N・mを発生。トランスミッションは4速AT、駆動方式はFFと4WDが設定されていました。
インテリアは、2列目・3列目を倒すことでフラットなラゲッジスペースを確保可能。2列目は5:5の独立スライド式で、ベンチシートまたはキャプテンシートが選べました。
3列目は格納式の補助シートで、短時間の使用を前提とした設計です。
内装にはベージュ系やダークブラウン系の生地が使われ、上位グレードではキーフリーシステムやオートエアコンなどの快適装備も備わっていました。
車両価格(消費税込み)は149万円から。2008年当時としても非常に戦略的な低価格設定とされ、量販が期待されていました。
しかし実際には、発売当初から苦戦を強いられています。
その要因のひとつとして、燃費が挙げられます。
カタログ燃費は15.6km/L(FF)~14.6km/L(4WD)[10・15モード燃費]で、当時重要な販売施策となっていた「エコカー減税」の対象外であったことが、販売上の弱点となったのです。
そしてパッソセッテが苦戦した最大の要因は、後席ドアがスライド式ではなくヒンジドアであったことと考えられます。
当時すでにスライドドアの利便性がミニバンユーザーにとって常識となっており、競合するホンダ「フリード」や、同じトヨタの初代「シエンタ」に比べて明確な機能面での不利があったのは事実です。
販売不振を受け、トヨタは一度生産終了していた初代「シエンタ」を2011年に再販するという、異例の措置を講じました。
これがユーザーから高く評価されたことで、パッソセッテはますます不利な立場に置かれ、2012年3月には販売終了。結果的にわずか3年3か月という短命に終わりました。
パッソセッテの販売終了の背景には、スライドドアの不採用や旧態依然としたパワートレインだけでなく、社内競合となるシエンタの復活によるポジショニングの崩壊もあったといえます。
とはいえ取り回しや使い勝手の良さ、価格の手ごろさを評価する声もあり、今でも中古車市場などで注目するユーザーが一定数存在します。
いずれにせよ、パッソセッテがあったから今のシエンタがあるともいえ、その挑戦は決して無駄ではなかったのかもしれません。
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