練習といっても大事な準備、スーパーGTの「公式練習走行」とは
スーパーGTでの「公式練習走行」(フリープラクティス)とはどういうものなのか、レーシングドライバーの道上選手の話を交えながら解説します
GW後半戦スタートとともに始まった第2戦「FUJI 500KM RACE」
2018年5月3日(木)、ゴールデンウィーク後半の始まりと共にスーパーGT 第2戦「FUJI 500KM RACE」が開催されました。
開幕戦(岡山ラウンド)に引き続き、この第2戦の富士も天候は下り坂に。前日から降り始めた雨は雨脚こそ弱めたものの、1コーナーの先は真っ白という「富士ウェザー」に見舞われました。
しかし午後になると天候は回復し、気温も20度を超える初夏の陽気に。そして公式練習走行は13時50分から、30分に短縮されて行われました。
スーパーGTでの「公式練習走行」(フリープラクティス)とはどういうものなのか、レーシングドライバーの道上選手の話を交えながら解説します。
公式練習走行とは文字通り、主催者が公式に定めた走行時間で、スーパーGTの場合は予選の前に行われます。今回は非常に短い時間となってしまいましたが、通常は1時間45分もの時間が確保されており、各チームはレースの予選・決勝に向けた用意をします。
では具体的に、どんなことをするのでしょう?
「ほとんどのチームがそうだと思うのですが、僕たちの場合はまず、タイヤメーカーが持ち込んできたタイヤを確認します。だいたい2~3種類ですね。どれが一番グリップするかはもちろんですが、この他にも摩耗のしかたや状況を確認して、予選で使うタイヤを決めるんです」
スーパーGTは予選で使ったタイヤを決勝レースのスタートで装着しなければなりません。予選Q1で使ったものか、Q2で使ったものかは抽選で決まります。チームは決勝レースでのプランも組み込んで、予選のタイヤを決めているのです。
「さらにタイヤ選択と平行して、セットアップも行います。まずは予選で速く走れるセッティングをして、余裕があれば決勝レースのセッティングも行います。予選用のセッティングと決勝用のセッティングはまるで違うんですよ」と道上選手は語ります。
予選は数周分だけ走りきれる燃料を積んで、一発の速さを狙います。対して決勝では燃料を満載にするため、マシンの動きは大きく変わります。極端に言うと予選は多少乗りにくくても速さを重視し、決勝では様々な状況にも対応できる乗りやすさが求められるとのことでした。
そんな公式練習走行で「#34 Modulo KENWOOD NSX GT3」は、1分38秒340(道上 龍)のタイムを出して8位となりました。
練習といってもただ単に走っているだけではない「公式練習走行」。どんなことをしているのか見てみると、またスーパーGTが面白くなりますよ。
【了】
Writer: 山田弘樹(モータージャーナリスト)
自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経てフリーランスに。レース活動の経験を活かし、モータージャーナリストとして執筆中。並行してスーパーGTなどのレースレポートや、ドライビングスクールでの講師も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。A.J.A.J.(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。